2007年10月14日

「川合玉堂展」

私のお気に入り美術館の一つ、山種美術館に行ってきて「川合玉堂展」を見てきました。これまで川合玉堂は見たことあるかもしれないし、その時その時によって、気に入ったり素通りしたりしてきたんだと思うけど、これだけまとめて見ることが出来たので、川合玉堂の名前はしっかり私にインプットされました。なんといっても、ほんといい絵。すごく癒されるというか、心が落ち着いて清らかになるというか。最近「脳内FBI・勝手に画家のプロファイリング!」という試みが自分の中だけでひっそりはやっているのですが、まあ、つまり、絵を見てその画家さんの人となりを勝手に想像・妄想するという遊びなわけです。その私の勝手な脳内プロファイリングによると、川合玉堂氏は誠実で真摯で人間ができていたと思う。そんなことを感じさせられた展示でした。






印象に残った作品を出品リスト(制作年代順になっております)の順にメモしておきます。

まず若い頃に描いた《鵜飼》。1895(昭和28)年の作品です。自然の見事な描写!気合はいってるな、て感じです。その自然に囲まれて漁にいそしむ鵜飼たちの様子が生き生きと明るく描かれていていい作品。実は鵜飼の絵は他にもあってだいぶ年をとってから描いた、1948(昭和23)年頃の《鵜飼》もあります。これはもっと小さい画面の絵で、太い線でわしわしと描いてる感じでだいぶ雰囲気が違うのですが、それでも、鵜飼の活気ある漁の感じは健在!

《山雨一過》は実にすがすがしい絵です。峠の様子を描いているのですが、雨上がりの心地よいさわやかな気持ちが伝わってきます。さあ、旅を続けるか、ていう感じ。

《荒海》は絵としてもとても力があるのですが、解説を読んでふーむと思わされました。国民の戦意発揚を目的とした第7回新文展(戦時特別文展)に出品したものなのですが、この回は、国土をたたえるものにしろ、とか、戦意を発揚するものにしろ、とか、そういう注文がついてくる。その中で描いた荒海の絵。これを描いたときの川合玉堂の心中はどんなんだったんだろうとしばし思いをめぐらせました。

戦後間もなく描いた《観世大士》。墨でさーっと描きあげた感じの絵。仏教関係のモチーフよね?詳しいことはわからないんだけど。でも、とても穏やかで気持ちが落ち着くような絵でした。

《水声雨声》見事だなあ〜!やわらかい雨が降っている様子を表現する技術がすごい!絵の中に手を差し伸べられたら、さーっと雨がかかってきそう。水車にかかる水も見事に表現されています。

《渡所晩晴》も好き。水墨の世界の上に植物が燃えいずる様子が淡い色使いで表現されていて、とても優しい。この人は自然から真剣に学んだんだなあと思いました。

あと、絵というわけじゃないんだけど、さらさらと書いた書にかなぶんとばったの絵が添えられているものがありました。《秋夜》と題されたもの。そこに書かれているのが味がある。「紙のうへにとび来はた於りかなぶんぶん絵にかけうたによめと飛びくも」。いいよね〜!こういう作品見ると草書が読めるようになりたいって思う。キャプションにつけられている活字を読んで、実際の書を見て、ああ、そう読むのかって理解できるんだけど、これ、自分で詠めるようになったらいいなあってつくづく思うよ。

話変わって。前回来たときは気付かなかったんだけど、入り口付近の壁に新聞・雑誌記事のコピーがはってありました。山種美術館3代目館長に就任された山崎妙子さんについて。素敵〜!!創業者一族の方なんだけど、慶応大学経済学部を卒業された後、藝大大学院で博士号までとられたそうです。専門は御舟とのこと。すごいなあ〜。美人だし、才媛とはこのことでしょう!絵にかいたようなスーパーウーマンだな。この人にお目にかかりたい、という願いが心にわいてきました。といっても、会って握手してください、くらいのミーハーぶりですが。それにしても藝大の大学院で修行すると絵画ってどんな風に見えるんだろう。未知の世界だなあ。怖くもあり、羨ましくもあり。

posted by はな at 09:32| Comment(2) | TrackBack(1) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Great Ukiyoe Masters

松涛美術館だなんて渋いところで、こっそりどえらい展示が開催されています!!

Great Ukiyoe Masters/春信、歌麿、北斎、広重
ミネアポリス美術館秘蔵コレクションより

↓松涛美術館案内
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/museum/
↓展示案内
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/museum/20071002_ukiyoe.html

会期は10月2日から11月25日。前期は10月28日まで、後期は10月30日から。前期後期で作品総入れ替え。…これは、後期も見に行きたいなあ…かなり、相当、めっちゃいいですよ!!








私は見ている量も勉強も足りないから、全然「浮世絵通」なんてことにはなれないのだけど、それでも、浮世絵が好きです。見るのが楽しい。美人画とひとくくりにいってみても、みんなそれぞれ趣向を凝らした美人が見られるし、役者絵はあまりお芝居を見に行く機会のない私でも「かっこいいなあ、粋だなあ!」って思わされるし、風景画や普段の様子を描いたのも好きだし、あと、結構好きなのが、“浮世絵”っていうカテゴリーからははみでるかもしれないけれど、浮世絵師が描いたってことで浮世絵展にたまにでてくる花鳥画系の絵だったり、戯画!みんな面白いんだ。

今回も次から次へと飽きさせない作品のオンパレード!有名絵師の作品がわんさか!とてもよかったです。

それでは、その中から特に印象に残った作品をメモ!

鳥居清広《佐野川市松》。あの虚無僧のかごみたいな笠をさっととって顔を見せている人物を描いた絵。「虚無僧の顔を見せたる暑さかな」という句が添えられていて、暑い夏のことなんだろうけど、でも、このかっこよさでなんだかさわやかな夏だな!て思っちゃいました。着ている着物も華やかで、髪型も女性っぽいと感じて、うーん、これはどういうことなんだろう?と一人悩んでました。見立て系なのかな?と思ったり。帰って来てからネットでちょちょっと検索してみたらどうやら女形をしてた人なのかな?あと「市松模様」の由来になった人とのこと。ネットって物知りねえ。

鈴木春信の《座舗八景》も面白い。中国の「瀟湘八景」から着想を得て、室内での様子を見立てて描いてます。白い布だっけかな?そんなものを雪に見立てたり。

鳥居清長の《三囲神社の夕立》もいい。夕立が降り始めたところの様子で、軒先に駆け込んでくる美人達の様子が臨場感たっぷりに描かれていてそれも魅力的なんだけど、個人的にはちょっぴりギャグっぽく描かれた雲の上の雷神様たちがツボにはまりました!ちょいとこざっぱりした粋な旦那衆って感じの服装。こんな雷神様みたことないよ〜!

歌舞妓堂艶鏡という絵師さんの作品がありました。解説によるとその作品は7点しか確認されていないとのこと。それが見られるなんて貴重だ〜。謎めいたところといい、絵の雰囲気といい、写楽を思わせる!

あと、花鳥図っぽいものもいくつか。

葛飾北斎《黄鳥 長春》。写実性にも優れているし構図のバランスも素敵。あと、この時代にバラ(←長春というのはバラらしい)があったのかあ、とちょっと感心。同じく《松に鶴》もすばらしい!

歌川広重もいーっぱい出ていました!《月に雁》はとてもダイナミック。《和漢朗詠集 藤に燕》もようございます。

最後にとっておきのお気に入りが広重の《童遊ひ見立ほふづき》。ほおづきの実が人の形になって、子ども達が手をつないで遊んでるみたいになってるの!こういうのかわいくて大好き!広重といえば夏に見た《童戯武者尽》もめっちゃ大好きだったし、この人の描くちょっととぼけた戯画、大好きです!

なんか書いててますます後期も行きたくなってきた…。

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2007年10月13日

フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展

行ってきました、新美術館!きっとこの秋ナンバーワンの注目度なんじゃないでしょうか?だって、フェルメール来日!ですもん。
フェルメールかあ、フェルメールがくるのかあ、と、なんだかまるでモナ・リザがくるかのようなイベントわくわく感で待っておりました。本とか買っていろいろ予習したりして。なんか行く前からおなかいっぱいになっちゃったなあと思いつつ…。







でも、実物見たら…!

実物ってすごい!!やっぱりライブで見るって最高!

パンが、パンが光ってるよ!

《受胎告知》を見に行ったときみたいに絵の前の最前列はゆっくり人が流れるように促される感じになっているのですが、何度も並んだり、最前列ロープの後ろからじっくり見たり、いろんなことをして楽しみました。
そんなに大きくないキャンバスに丁寧に丁寧に描かれた絵。その絵が宝石のように感じられたのは、考え抜かれ凛と張り詰めた構図のゆえか、それとも青があまりに美しいからか。パンが光ってるよ、なんて、子どもじみた感想をもらしてしまったけれど、それは本当にびっくりしたところ。予習本でパンを描くのに白の粒が、光の表現がうんぬんという説明を読んで、実際に本でも幾度となく絵の写真を見ていたわけだけど、本物はほんとに輝いてた。パンが、なんでもない台所が、あんなに神々しいとは。傑作だという前評判を知ってるから傑作だと思うんでしょ、と言われたら、傑作だと刷り込まれる前の私に戻ることは出来ないからそれを否定することは出来ないけれど、でも、もし、フェルメールのこと何も知らず、この展覧会が「オランダ風俗画」展ていうだけの題名でその中に特別扱いされてないフェルメール《牛乳を注ぐ女》がちょこんと飾られていても、私はやっぱりその絵に驚かされ、その場に釘付けになると思う、それは確信ある。

他の作品もよかったですよ。オランダ風俗画をたくさん見ることが出来ておもしろかったです。オランダ風俗画、こんなにたくさん見ると、なんだかおなかいっぱいだなあ。あてこすりやら寓意やら、あまりにも人間くさい描写やら、ちょっぴり胃もたれします(笑)。その時代にあって《牛乳を注ぐ女》は静謐だなあ。フェルメールってどんな性格の人だったんだろう。タイムマシンがあったら会いに行ってみたい。

今、出品リストを見返しているのですが、なんとなく他の絵の感想を書く言葉が見当たらないや。て、ここで感想をメモしておく努力を怠ると、どんどん記憶が風化されるから、書いたほうがいいと思うんだけど。でも、やっぱりフェルメール《牛乳を注ぐ女》を見ることが出来て、それだけで来た甲斐があったって思うんです。

posted by はな at 11:47| Comment(3) | TrackBack(1) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「BIOMBO/屏風 日本の美」

サントリー美術館にて開館記念特別展として開催されている「BIOMBO/屏風 日本の美」展にいってきました。会期は9月1日から10月21日まで。期間中に7回の展示替えがあるのです。めまぐるしい〜!やっぱり屏風は大きいものだから展示スペースをとってしまうので、出したいもの全部出すにはちょこちょこ展示替えするのはやむを得ないのかなあという感じです。出品リストを見てみると、一応どの回に行ってもエッセンスは味わえるようになっているので、まあ全制覇しなくてもいいかな、と。2、3回くらいなら「全部みてやる!」ていう気にもなるんだけど、さすがに7回だと…。あまり出品リストを見すぎると、見られなかったものが見たくなってくるので、あまり見ないようにします。逃した魚は大きいから(笑)。



内容は大満足でした!私、きらびやかでゴージャスなものが好きだから(←単純)、すごく好きになってしまいました!もう、何度鳥肌が立ったか!

出品リストの順に思い出を書いていきます。

まずは「1 屏風の成立と展開」から。最初のマイ大興奮屏風は《京洛月次風俗図扇面流屏風》です。青海波に舞う千鳥、たなびく金雲、そこに一面に扇が散らされているのです!狩野元信の工房かもしれない、とか言うことが書いてあったかな、確か。きれいだった〜。

《厩図屏風》(重文)も面白い。馬は武将にとって大事なものだったのでこういう図柄が選ばれたとか。馬の様子も迫力あるし、厩の周りですごす人たちのたのしげな様子もいい風俗画って感じで楽しく見てきました!厩の周りの木々が美しく描きこまれていて、美しさも十分、なところが心憎い演出!

「2 儀礼の屏風」にもなかなか見られない貴重な屏風がたくさん!
東山魁夷・高山辰雄筆《悠紀・主基地方風俗歌屏風(平成度)》。東山魁夷の絵があるのがまず会場で異色を放っていたんだけれど、これは天皇の即位の度にいつも作られる種類の屏風らしい。ひ〜なんだかすごい貴重なものみせてもらったなあ、という感じ。

目を見張ったのは伝原在中筆《白絵屏風》。この白絵屏風というのは会場のほかの作品の中でも時々登場していたのですが、出産の時、場を清めるために使うという意味合いがあるものだそうです。上品なベージュ色の下地に白一色で描かれた屏風はなんだか幻想的。



狩野探幽筆《桐鳳凰図屏風》もゴージャス感がよろしい。金屏風に鳳凰だなんて…豪華…☆

「3 BIOMBOの時代 屏風に見る南蛮交流」あたりもとってもおもしろい!こんな風に外国文化がはいってきて、それをこんな風に描きあげたんだ〜!と、当時の国際感覚に感動!

《二十八都市・万国絵図屏風》とか、これが当時の日本で描かれたってことに、なんだか「ほお〜!」とうならされました!
他にも外国の王侯の様子を描いたものやキリシタン伝来があってこそ描かれたものとか。こんなジャンルの屏風は今までみたことないし、これからもそうそう見る機会はないだろうな、という感じ。

「4 近世屏風の百花繚乱」も、まあなかなか。私が行ったときはちょっと数が少なかったかな。と、さらっと流してみる。

「5 異国に贈られた屏風」ということで、外国への外交的な贈り物にされた、国として全力投球の作品達!それがまた贈られた先できれいに保存されているのが嬉しい。

作品じゃないんだけど住吉広行筆《春冬堂上放鷹図屏風》の下絵が出品されていました!なかなかこういうものを見る機会はないんじゃないでしょうか。ちょろちょろっと作成にあたってのメモ書きみたいなものも書き込まれていたりしておもしろい。出来上がった作品も見たくなりました。

オランダのライデン国立民族学博物館所蔵の作品はみんな色がすごく綺麗に残っていてびっくり。まるで描きたて!て感じだよ。
中でも一番すきなのは狩野勝川院雅信筆《鷹狩図屏風》。桜と紅葉が美しい〜!

今回の試みの中で貴重なものといえば「6 海を越えた襖絵と屏風絵」でしょう。もともと一続きの作品として描かれていたものがばらばらの屏風になって世界各地の美術館に収められ、それがこのたび一堂に会しました!みたいな。なんかそういうのって、そのエピソードだけで十分感動できちゃう私。

ケルン東洋美術館所蔵分とサントリー美術館のものが合体した《祇園祭礼図屏風》はお祭のにぎやかな感じがうわーっと伝わってくる楽しい絵!
あと、麝香猫の家族の再会もよかったし。子猫かわいい。

そんな感じで私的には超大満足の展示でした!これだけめいっぱい屏風みちゃったら、京都いかなくてもいいかな…?なーんていうのは冗談(笑)

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2007年10月04日

剥き出しのヨーロッパ史十選より引用

ミーハーな私のファンな学者さんの一人である、美術史研究の池上英洋先生が日経新聞で「剥き出しのヨーロッパ史 十選」という連載をされていました。

文化欄の中の小さなコラムなのですが、10回の連載全部が「目から鱗!」な視点と視野を与えてくれるもので、ついつい読みふけってしまいました、職場で。(←職務怠慢)

紹介されていた10枚の絵の中で特に心惹かれた回からの抜粋を掲載します。絵に惹かれたのか、語られる歴史に惹かれたのか。絵っていっても、なんせ新聞なもんで、白黒だったからね。

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ジャック・ブランシャール《慈愛》オハイオ州、トレド美術館。

「産褥死は西洋で長い間、女性の死因の第二位を占めていた。(中略)富裕層であれば乳母を雇えるが、粉ミルクなども無い時代に、男手ひとつで乳児を育てることは困難を極めた。結果的に、多くの子供たちが命を落としていった。子供を預かる施設の誕生は、新生児にとってひとつの福音となった。施設内でも依然死亡率は高かったが、育児中の近隣女性が乳母として参加した。絵の中で、乳をもらおうとまとわりつく子供たちをよく見てほしい。彼らは異なる髪の色、つまり母体を異にする子供たちなのだろう。」


ジャン・クーザン(父)《エヴァ・プリマ・パンドラ》

「ヨーロッパはキリスト教世界となった後も、ギリシャ・ローマ神話の文化を完全には手放さなかった。一神教と多神教という相反する構造を同時に抱える矛盾を、ヨーロッパは何度も解消しようとした。両者の融合を目指した努力こそが、ルネサンス文化の本質だ。(中略)人類が文明化とひきかえに永遠の生命を失い、そのきかっけとなったのが人類最初の女性である構図は、神話も聖書も同じなのだ。こうした共通性をもって、画家クーザンはエヴァとパンドラを重ね合わせ、頭蓋骨と林檎、壺と蛇を持つ女性像を描いたのだ。」
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2007年09月30日

ヴェネツィア絵画のきらめき

渋谷のbunkamuraにて「ヴェネツィア絵画のきらめき 栄光のルネサンスから華麗なる18世紀へ」を見てきました!会期は9月2日〜10月25日です。




章立ては「第1章 宗教・神話・寓意」「第2章 統領(ドージェ)のヴェネツィア」「第3章 都市の相貌」となっています。分量は1と3が多いので、イメージとしては「前半:宗教画・後半:都市の風景」といったイメージです。

印象に残った絵をメモします。

まず、展覧会のメインイメージにも使われているティツィアーノ・ヴェチェリオ《洗礼者聖ヨハネの首をもつサロメ》がとても美しかったです。オスカー・ワイルド以降的なおどろおどろしさはなくって、透き通るような清純な乙女としてのサロメに見えたのですが、それは観方が甘すぎですか?

アントニオ・ザンキ《善きサマリア人》は、なんかデッサンが少し変?とか思いながらも、ドラマティックな描き方が好きでした。肌の光感とか。サマリア人の爪とかすごくリアルだなって見ちゃった。

あと、不思議な白黒の絵なんだけど、ジャンバッティスタ・ピットーニ《寓意のモニュメント(アイザック・ニュートンに捧げる)》という作品。もう1枚別の人の似たような作品があってそれも《寓意のモニュメント(ウィリアム・クーパーに捧げる)》。共に1725年の作品。どういった意味がある作品なんだろう。解説が欲しいところでした!前者、ニュートンのほうは、絵のなかを一筋の光が走っていくの。で、人々は大きく動いていたところを写真で切り取ったように制止してるって感じで。変な絵〜。なんか印象に残りました。

ジャンバッティスタ・ティエポロ《ゴリアテの首をもつダヴィデ》もよかった。光と闇のコントラストがいいね。ダヴィデはあまりイケメンに描かれていなかったけど(少なくとも私好みの顔ではなかったという低レベルな話)でも若々しい感じが出ていていいです。顔とかが赤いのは返り血?

こうして振り返ってみると、気に入った絵は前半に固まっているみたいだわ。

でも、第2章、第3章も当時のヴェネツィアに思いを馳せさせる魅力を持つ絵がそろっていました。

絵ていうか、解説の中に「ロマンあふれるな〜」と思わされた事象があって、それはなにかっていうと「ヴェネツィアと海との結婚」ていうのがあって、船出してイベントしたりするんだって!そういうのってすごくわくわくするなあ!

第3章はヴェネツィアの風景画が多くて、なんか懐かしい気がしたのは、パソコンと共に昇天した私のイタリア旅行写真が草葉の陰から叫んでいるから?私がヴェネツィアを旅行した日もとても晴れていたよ…。そもそも、懐かしいっていうのは、どういうことかしら。当時の様子が今のヴェネツィアにも残っているということなのかな?

風景画以外でこの章で気になったのはティツィアーノ・ヴェチェリオ(帰属)《混血の少年の肖像》。肖像画を描いてもらえるっていうことは、ある程度以上お金がある人でしょう。少なくとも超貧乏など庶民の子の肖像画はないんじゃないかなーと思うわけですが。となると、このエキゾチックな顔立ちの“混血”の少年はいったいどんなバックグラウンドを持つ人なんだろう、と、ヴェネツィアは予想以上にコスモポリタンな都市だったのかもしれない、なんて、いろいろ想像しました!

いい絵がいっぱいあって、個人的な嗜好としては特に前半に大満足の展覧会でしたぴかぴか(新しい)
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2007年09月27日

浮世絵師たちのシニア・パワー 北斎・広重・三代豊国還暦からの挑戦

太田記念美術館で開催されていた「浮世絵師たちのシニア・パワー 北斎・広重・三代豊国 還暦からの挑戦」(9月1日〜26日)に行ってまいりました。

高名な浮世絵師たちの“晩年”の作品に焦点をしぼって一気に御紹介!展覧会のタイトルがなんだかぱっとしないのですが、どうしてなかなか、ますます意気軒昂という感じ、斬新だったり洗練されてたり、おとなしくまとまることを知らず、創作が楽しい!という感じが伝わってくる見事な絵がたくさんありました〜!



最初の畳の間にあった作品がとても好きでした。
松川半山《家族祝宴図》。還暦のお祝い、ということなんでしょう。家族でにぎやかにうれしそうに騒いでいる絵にモデルとなった狂歌師・白水舎百田の狂歌が添えられます。

「難もなくいそちの波をこしてはやむそち峠にかかるたのしさ」

いいなあって思いました!こういう風に愉快な気持ちで年を重ねていけるっていいなあって。

葛飾北斎《富岳三十六景》が出ておりました。なんだか色合いが薄いなと思ったんだけど、これは、保存状態があまりよくないものを大田記念が所蔵しているということ?他にもっと鮮やかな色のがあるのかしら?

と、そんなことを気にしつつ見てました。でも、絵としては素敵。「尾州不二見原」っていう絵は作りかけの桶の向こうに富士山が見える面白い構図。桶作りの職人さんの雰囲気も元気な感じです。

北斎は他に《諸国名橋奇覧》という揃ものからも何点か出てました。こういうのって、話を聞いたり本を読んだりして描くのかな?

あと中国の地図を表現した《唐土名所之絵》ていうのも細かい!これを81歳で描いたっていうのはすごい!

歌川広重ではご存知《名所江戸百景》からいくつか。

《冨士三十六景》という北斎の《富嶽三十六景》の向こうをはってるような作品も!でも、やっぱりなんていうか広重っぽいテイスト。

三代豊国の《東海道五十三次之内》、好きだな〜!それぞれの宿場の土地柄になじみのある役者の絵を描いてるのだ。なんだか、アイデアがおしゃれだと思う。

《今様見立士農工商 商人》ていう絵も出ていて、商いをしている店先の様子(ちなみに広重と江戸百でタッグをくんだ魚屋栄吉のお店!)を描いているのです。おもしろいのは、登場人物がみんな女性なのだ。

あと、《今様三十二相》から2枚。これ横浜美術館で見たのだけど、寒そうな顔の絵に「さむ相」とか涼しそうな様子の絵に「すずし相」とかいう、ちょっとした言葉遊びが好き♪

こんな感じでいつ来ても楽しい美術館です!
原宿・表参道のにぎやかな感じから1本道を入ったらこんな異空間があるなんて、おもしろいでしょう〜!

posted by はな at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベルト・モリゾ展

印象派の華(と、自分で勝手に名づけた)「ベルト・モリゾ展」に行ってまいりました。
損保ジャパン東郷青児美術館にて9月15日〜11月25日です。



週末行っても空いているような穴場感がいい東郷青児美術館ですが、今回は人が多かった!!さすが印象派は人気があるんだなあと思いました。いつもはお客がいなさすぎて、めっちゃゆるい感じで仕事をしている受付&ミュージアムショップのお姉さま達も今回は軽く忙殺されていてふざけた感じがしなくてよかったです(←きみ、何様のつもり?)

展示の最初のほうに当時の“女性画家”をとりまく環境についていろいろ説明されていて、それがかなり興味深かったです。

例えば、女性は裸体をモデルにして絵の練習ができなかったので、当時の基準で高位にあった「歴史絵」を描くことが難しかったとか、あの時代画家やアーティストはカフェで語り合って切磋琢磨していたけどちょっとしたいいお家の女性は一人で外出しちゃ行けなかったからそういうところにもいけなかったとか。うわー、大変!て思いました。そして、ブログがご縁でお近づきになれたpaletteさん(この記事、見てくれるかしら?)、ご自身も絵を描かれている方なのですが、paletteさんがこの解説を読んで、そしてモリゾの絵を見てどんな風に思われるかなあってぼんやりと思いましたよ!
あと、当時は、正規の美術教育は女性に門戸を閉ざしていたということも書いておかなくては。エコール・ド・ボザール(国立美術学校)が女子学生を受け入れるようになったのはモリゾの死後2年経った時なんだそうです。こういう話を聞くと、ほんの数百年前なのに、女性と男性それぞれに許されていたことがこんなにも違うんだと思うと、なんだか不思議な気がします!


印象に残った作品についてメモしておきます。

《寓話 または 乳母と赤ちゃん》。



優しい感じに心惹かれました。ソフトな色を効果的に用いて柔らかく明るい感じがでていると思いました。ほの明るい光感。

《ブーローニュの森の湖にて》なども。
ブローニュの森に近いところに住んでいたのかあ。ええところに住んでるなあ…。やっぱ、ええとこのお嬢さんなんよね…。なんて、絵と違うところで感心したり。


意外だなと思ったのは《埠頭の船》。港湾のエナジェティックな感じのところを描いた絵なんだけど、こんなところにきれいな奥さんが絵の題材を求めに足を運べたんだ〜みたいな驚き。これも、絵とは違うところで感心した感想になってる…。


変な感想ばっかりだけど、絵もいいのですよ!
すごく好きだったのは《少女と犬》。



まだ幼い少女だと思うのだけれど、全体の青っぽいトーンがちょっとおすましした感じと少女の清潔な感じを出していてとても好感度高かったです。背景の白布がつりさげられているか、何かにかぶさっているか、なのがちと不思議。


あとは《水浴》。水辺に裸の少女がいる絵なんだけど、体の美しさに惹かれます。冒頭で「裸体モデルによる絵の練習が出来ない〜」てこと書いたけど、それとは全く別問題。これは娘の成長を見守ってきた母だから知っている少女の美しさだなって思いました。

そんな感じで娘ジュリーがモリゾの絵にとって大きな意味を持っていて、度々彼女をモデルに描いているのですが、これなんて、ずいぶん大人っぽくべっぴんさんになったわねぇって感じ!

《夢見るジュリー》。



歴史・女性史的な観点からも興味深い人物だなと思ったベルト・モリゾ。絵もとっても素敵でした!

posted by はな at 16:31| Comment(9) | TrackBack(7) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月25日

「青木繁と《海の幸》」

ブリヂストン美術館へ行って「青木繁と《海の幸》」という夏季特別展を見てまいりました(会期:7月18日〜9月30日)。

《海の幸》。若かりし頃、美術の教科書で見た絵だなあ、と思い、その実物が見られるのかあ、と、どきどき!普段は久留米市の石橋美術館に所蔵されている《海の幸》を含む青木の6作品がブリヂストンの素晴らしい常設作品の中のちょうどいい位置に素敵に展示されていました!





初めて見てみて、まずその荒々しいワイルドなタッチにびっくり。「へえ〜こんな絵なんだあ」って感心しました。画面の両端は塗りも途中のままになっている感じです。だけど、画面中央の人物には強い光が当たっているように見え、鈍く光るような色合いをしており、それが視界の端にいくにしたがって光の強さ・筆の入れ方共に抑えられているので、その両方の効果があいまって光と対を成す闇を、そして画面の外までの広いつながり・広がりを感じさせるものでした。不思議な、というか、ある種の幻想的な感じを与える絵。見ることが出来てよかったと思います。

《わだつみのいろこの宮》という絵もよかったです。




パンフレットによると「日本神話の山幸彦・海幸彦の物語に取材した作品です」とのこと。そのストーリーはちゃんと知らないのでこの絵がどんな場面なのかぴんとこないのですが、でも、きれいに仕上げられていて、海の中の幻想的な一シーンという感じがとてもよかったです。
山幸彦はなんとなくとても若い感じがする。ちょうど思春期、高校生ぐらいの雰囲気がする。表情が、かな。神話の登場人物に年齢なんてないのかもしれないけど、なんとなく、ね、そんな感じを受けたのよ。
海神の娘・豊玉姫の衣装がとても美しく描かれていました。足元からぷくりぷくりと浮かぶ気泡もきれい。

常設展示作品はいつもながら素晴らしく、ぐるっとパスではいれちゃうのが申し訳ないくらい。ほんと、いい美術館だよね。きれいで雰囲気いいし。

エドゥワール・マネ《自画像》。この絵好きなんだよね。マネはベルト・モリゾが好きだったんだろうな。その才能も認めていて。でも女だからってことで上から目線。作品にも偉そうに指図。「俺にふさわしいのは才能あるベルト・モリゾだ」とか思ってたのかも。ツンデレの走り?一人思い込み系?でも、えてしてそういう男ってうざいからね、女の側からしたら。な〜んてことを勝手に妄想してしまった今日この頃。でも、このマネの自画像は大好きよ!これいい作品。

セザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》もいい。

藤田嗣治の《猫のいる静物》を見られるのも嬉しい。

て、なんか、このラインナップ、前回ブリヂストンに来たときとほぼ同じ作品をピックアップしているような?まあ、大好きってことで!

posted by はな at 16:46| Comment(3) | TrackBack(4) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「仙香Eセンガイ・SENGAI 禅画にあそぶ」

出光美術館で開催中の「仙鴻ZンガイSENGAI 禅画にあそぶ」を見てまいりました(会期:9月1日〜10月28日)。“禅画”なんていうのはちょっときいたことないし珍しいと思います。

公式サイトから解説を引用。
***
九州・博多聖福寺の第123世の住職として、また、臨済宗の古月派を代表する名僧としても名高い仙香i1750〜1837)がなくなってちょうど170年となる今年、仙高フ偉大な業績を顕彰するために本回顧展が実現しました。
「博多の仙高ウん」と今でも親しみ愛されている仙高ヘ、晩年、数多くの「禅画」を描いたことで有名な禅僧です。仙高フ遺した水墨作品――禅画は、「拷譁ウ法(仙高フ絵には決まった法などない)」の精神にもとづいたきわめてユーモラスかつ自由奔放な作品で、斬新な表現や大胆なデフォルメにより、現代の私たちが見ても「楽しくて、かわいい」と感じる不思議な魅力に満ち溢れています。
一方、これまでほとんど知られていませんが、仙高フ後半生の暮らしぶりが、近年、当館の作品を調査する中でわかってきました。仙高ヘ旅好きで九州北部の名所旧跡を踏破し、珍しい石の収集に熱中し、あるいは地誌の研究を助け、博物学への関心まで示したマルチな文化人でもあったのです。
本展では、仙高フ禅画を楽しむとともに、そこにこめられた心温まるメッセージを読み解きながら、江戸時代後期を代表する趣味人としても重要な存在である仙高フ、もう一つの実像にも迫ってみたいと思います。日本最大の質と量を有する出光美術館のコレクションでたどる仙酷Wの決定版。仙高フ遺した数々のメッセージは、きっと時空を超えて私たちに多くを語りかけてくれることでしょう。どうぞお楽しみください。
***

会場はユーモアたっぷり、そしてちょっと考えさせられる賛が添えられた、めっちゃゆるい絵がたくさんありました!

例えば、今回の看板絵になっている《指月布袋画賛》なんかどうでしょう。購入した図録の表紙にもなっています。図録は高いし部屋も狭いしで極力買わないようにしているのですが、今回は面白くて買っちゃった!





作品をいくつか紹介…。

まずはいきなり変化球を。
こんな絵が!

《釈迦三尊・十六羅漢図》。
普通にうまい…!仙高ウんは普通に絵がすごく上手じゃん!




でもこれは全体の中のほんの一部で、あとはみんな脱力系。ゆるゆるへたうまっていう感じかな。

《座禅蛙画賛》は深いよ。




「座禅して人が佛になるならハ」。高みを目指すには、意味も考えず形式だけをまねるのではなく、能動的で積極的な精神の向上が求められるということですね。

同じく蛙つながりで《芭蕉蛙画賛》。

「池阿らは飛で芭蕉に聞かせたい」と賛が添えられているほうの蛙くんのぬけた表情がなんとも言えずかわいい!!!







こんな調子で、なごめまくる絵がたくさんあったので、思わず図録買っちゃったよ…。母は「置くところないのに!」て顔をしかめてたけど、こういう絵って他ではまず見られないからさあ。

絵葉書もあったよ。これ会場に展示されてたっけ?なかったような気がするんだけど。

《鶏画賛》「はよふおきんかあー」はーい、おきます!!(笑)



あと、いいなあと思ったの。最初のほうに展示されていて「斉藤秋圃筆」て書いてあったから仙高フ絵というわけではないのかな?《涅槃図》。





仙濠ワめ3人で賛を書いているんだけど、その賛もくだらなくて、脱力おばか系。絵もおもしろい。涅槃の図なのに、絵の手前にはなにやらごちゃごちゃ道具が散らかってる。周りの人々は全然深刻そうな顔してないし。木からは納豆ぶらさがってるし。なんかこうなるともう、涅槃の台座が豆腐に見えてきたのは私だけ?

仙高ウんはこんな感じの生涯だったんじゃないかなあ、なんて、勝手に想像をめぐらせました。

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2007年09月22日

花鳥礼讃 ―中国・日本のかたちと心―

「花鳥礼讃 ―中国・日本のかたちと心―」
泉屋博古館にて8月4日〜9月24日

ちらしも入手できなかったので、せめて、年間スケジュール表を写した写真を1枚…。伊藤若冲の《海棠目白図》なんですが…こんな写真じゃねえ…m(_ _)m



いい絵がたくさんありました!ここに来る前によった大倉集古館ではちょっと渋めの、美術館的というより博物館的な品々をたくさん見てきたので、ちょうどバランスがとれたって感じでしょうか。栄養のバランスがね。


沈南蘋《雪中遊兎図》は大作。実は順路を間違えて、先にこの人の《花卉画帳》というお花の絵を見たのですが、そのイメージと全然違うものだからびっくりしました。大きな画面に雪の風景や兎の様子がみっちり描きこまれています。

伊藤若冲《海棠目白図》は目白が目白押しに並んでいて、そいつらがとってもむくむくしていてかわいい!むくむく、むくむく〜。よく見かけるような気がするんだけど、木の枝のところにぺたぺたとターコイズブルー(っていうほど明るくもないかな?)の色を置くのは、あれは何を表現してるのだろう?苔?いやあ、でも、あんな枝全面に苔は生えないよなあ…。いえいえ、別に違和感があるって言いたいわけじゃ全然ないんです。ただ、あれは、何の表現なのかな〜て。枝のごつごつ感と黒光りしてる感じを出してるのかな?

丸山応挙《牡丹孔雀図》。いくつか孔雀図は出ていたけれど、私は丸山応挙のが一番気に入ったような気がします。画面をふわっさーと横切る尾羽の艶やかさ!

椿椿山《玉堂富貴・遊蝶・藻魚図》も非常に美しい。真ん中の花がそれ単独で華やかなこととか右側の薄墨のような色合いの魚達の真ん中にほのかにピンクの花びらが散るのが可憐だってのはもちろんのこと、3つの画面の相乗効果で美的な空間が何倍にも広がる不思議さ。

森徹山《檀鴨・竹狸図》。たぬきがかわゆい…。

あとは呉春《蔬菜図巻》や尾形乾山《椿図》には肩の力がほどよくぬけている魅力を感じました。尾形乾山なんか、さすがだなーというか。私はまだまだ悟りきれてないので焼物とかを観る目がないのですが、これは焼物をやってる人の味かなあ〜なんて思ったり。

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大倉コレクション アジアへの憧憬

ホテルオークラを会場にして開催されていたアートコレクション展は1ヶ月前に(!!)終わっていたという超大惨事をのりこえて、泣く泣く行ってきました、大倉集古館。

「大倉コレクション アジアへの憧憬」
8月1日〜9月30日

折り目つきまくってるけど、ちらしを写真にとってみました。



大倉コレクションって幅広いんだな〜と思いました。
広く東アジア・東南アジア・南アジアの地域から集められた、仏像や神々の像、鏡、唐三彩、漢籍…。感心しました。

今回心に残ったのは、《如来立像》(北魏時代・5世紀/重要文化財)と《普賢菩薩騎象像》(平安時代/国宝)です。これらは常設展示されてるものなので前も見たんだけど、でも、今回のこの展示品の中にあったことで、私の心へのインパクトの与え方が違いました。同じものでも見る日によって感じ方が違うのね〜。面白いものです。《如来立像》は手触りもざらざらしてそうな(触ってないよ、もちろん!)古いプリミティブな感じのする石の仏像だけど、その大きさはもちろんのこと、周りを取り巻く無数の仏の姿、そして顔の表情などもダイナミックでエネルギーがある。《普賢菩薩騎象像》のほうは、とにもかくにもアートとしてとても洗練されている感じが!神々しい気品があるのに華やかにすら見える不思議さ。この2つをピックアップして見比べただけでも、同じ「仏像」なんだけれども、多様性の広がりてものを感じさせられます。仏像を観るのが好きっていう、なかなか渋い趣味をお持ちの方は、そういうところに魅力を感じたりするのかな。


建物の外にも“アジアへの憧憬”が広がっていました、かな?

石の羊さん。




小さな蓮池。



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2007年09月08日

解き放たれたイメージ サーカス展

損保ジャパン東郷青児美術館にて、9月2日まで開催されていた展覧会です。もう会期終わってだいぶ経っちゃったけど、せっかく行ったので記録を残しておこうと思います。

ある画家の特集とか、時代・地域のカテゴリーでくくった展覧会とは一味違う、こういう、とっぴょうしもないような(?)テーマで開催される展覧会、結構好きだったりします。想定外の出会いがあるからかな。


こちら、チケット。



サーカスというモチーフはどこか人をひきつけるらしく、出ていた作品は、サーカスをテーマにした作品集や連作から出品されているものが結構ありました。1人1人の作品数が思ったより多かったから、自分の中で予想していたより「画家との出会い」は少なかったかも。

でも、よかったよ!

結構印象に残っているのが、ジョルジュ・ルオーの《アルルカン》。



近づいて見ると、絵の具がむちゃくちゃ厚く塗られていて、ちょっと気持ち悪いくらい。でも離れてみると色彩が幻想的。会場では照明との兼ね合いもあったのか、もうちょっと夕焼けを思わせるようなトーンがありましたが、おおむね、このへなちょこ写真のような感じです。


好きなマリー・ローランサンの《アルルキーヌ(女道化師)》。
そうか、アルルカンの女性形はアルルキーヌなのか、とまた1つ、語彙が増えました。



おどけた絵ではなく、道化という役にはいってないときの素顔(←舞台メイクをしていない、という意味だけではなく)を描いています。
ちょっと大人びた感じがする女性の絵。ステージが終わった後かな?

あとはご存知、マルク・シャガールも何点か。サーカス展だもん、きっとシャガールはあるよね。

なんだかむくむくと他のシャガール見たくなりました。ユニマット美術館いってくるべか?藤田嗣治もあるそうだし。

日本の画家さんも幾人か出ていたけれど、今回はぴんとくる出会いはなかったかな〜。

私の中でサーカスのイメージっていうと子供の頃に読んだ江戸川乱歩の少年探偵団がでてくるような子供向けのシリーズに出てくるもので、視覚にうったえるものというより、活字で想像が刺激されるものだったから、今回の体験はちょっと自分として新しい体験だったかも。


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2007年08月28日

ちょっと気になった美術館

太田記念美術館で展示を見終わった後、エントランスのあたりをうろうろしてたんです。そして、いろんな美術館や展覧会のチラシがおいてあるのを見てたんだけど、その中に気になる美術館が。

財団法人 平野政吉美術館
http://hirabi.m78.com/

なんで気になったかというと、チラシに藤田嗣治の1936年の《自画像》が掲載されてたから。あの、懐に猫をいれている自画像。この平野さんという人が藤田と親交があったそうで、藤田作品・関連物品を多く所蔵している、ミニフジタミュージアムみたいな感じみたいになってるのね。

惜しむらくは…この美術館、秋田にある…それはさすがにきつい…。

それに30年代の作品が中心みたいだし。ありきたりかもしれないけれど、私はもう少し若い頃の作品をたくさん見たいな、て思ったりしてるから。でもこの36年の自画像は見てみたいんだよね。まあ、何かの機会に東京に来てくれるのを辛抱強く待つとしましょう。
あとこの美術館のサイトでみつけた面白いページがこちら。
http://hirabi.m78.com/00top/11link.html
国内のどの美術館に藤田作品が収蔵されているかわかるのです。

ブリヂストンの《猫のいる静物》、このあいだみてきた〜!好きです。



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AYAKASHI 江戸の怪し ―浮世絵の妖怪・幽霊・妖術師たち―

これももう会期が終わってしまったのですが、とても面白かったです。
この夏に結構美人画を見る機会があったし、あと、江戸百も2回くらいみたから、なんとなく、生意気にも「もうちょっと雰囲気の違う浮世絵が見たいな〜」とか思っていたので、これは超行きたいって思ってました。でも結構会期最後ぎりぎりになってしまいましたよ。
でも行ってよかった、おもしろかった。これは図録欲しいと思った。ポストカードも欲しいと思った。でも、図録は売り切れ、ポストカードは作っていないとのこと。前も太田記念に会期ぎりぎりに来て図録無かったんだよなあ。学習しないなあ。

入り口の看板の写真。




百々眼鬼(どどめき)というんだそうです。これはまじできもいんだけど。よく化け物系の表象のことを評して「恐ろしげななかにもユーモラスな…」みたいな表現てあると思うけど、これはきもい、私的に。だって肌がしわしわな中から眼が見えてるんでしょ、うー、考えただけで鳥肌びびびだわ。ちょっとしゃれになってない。

なんでこれが看板なんだ、と思いつつ、それ以外のは、絵としてとてもおもしろかったです!こういうキモおもしろい浮世絵いいね!

展示全体の印象を思い返すとやはりこの8月の展示は月岡芳年の独壇場ではないか、というような気がします。《月百姿》《和漢百物語》という揃物から見事な作品がたくさん出ていて、なんか、とにもかくにも、月岡芳年だらけだったような思い出があるなあ。
絵の雰囲気として、ちょっとスタイリッシュっていうか、やっぱり時代が今に近いなっていうのを感じます。明治時代に活躍した絵師さんだもんね。

それと双璧をなす、今回の展示の私的大ヒットが歌川広重《童戯武者尽》というシリーズ!!このおやじギャグ的笑いのセンスと、脱力系の画風が最高なんですよ!!例えば、妖怪退治で有名な(←記憶おぼろげ)金時っていう武者が金時豆売ってるとかね、那須与一が女官のおしりに矢を放っちゃったとかね。もう、あほですわ。

夢のような想像だけど、これ、もし、どこかの出版社が揃物ひとまとめで画集にしてくれて出版してくれたら、涙流して買うわ〜。もうね、100部くらい買って親類縁者に配りますよ!

広重といえば江戸百からも1枚出てました。江戸百からこの展示に出てそうなのといえば…そうです、あの狐火の絵です!《王子装束ゑの木大晦日の狐火》でした〜。

三代歌川豊国《東海道五十三次之内 白須賀 因幡之助 猫塚》は猫の毛の彫が超こまかいの〜。ところで、知りたいのですが、東海道五十三次と冠する作品っていろんな絵師が描いてるの?

ほかにもいろいろありました!

また来年の夏もおもしろいあやかしを見せてください。
というよりもむしろ《童戯武者尽》展とかやってください☆いや、まじで!!



posted by はな at 18:41| Comment(5) | TrackBack(3) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月27日

キスリング展

もう会期は終わってしまったのですが、横浜のそごう美術館で「キスリング展」が開催されていたので見てきました。

きれいで私好みな絵が多くてかなり癒されました。
やっぱ好きな感じの絵を見るのっていいよね。
当たり前のことだけど、あらためてそう思うわけです。

感想をメモメモ。

若い頃の静物画等は結構いろんな人やいろんな流派の影響を受けている感じが面白かったです。

いろんなことに挑戦してみたんだな〜て感じで。

でもそういう時代を経て、色合いと塗りがとても美しい作風になったあたりがやっぱり好きです。

どうでしょう、《オランダ娘》。



いつもながらピンボケ写真でごめんね。
大阪市立近代美術館建設準備室というところから借りてたようなので、どうぞ、その大阪市立近代美術館にぜひ行ってみてください!ていうか、大阪にそんな美術館ができようとしているところなのかしら。いいわね。

《プロヴァンス地方の女(ルネ・キスリングの母の肖像)》はもうちょっといい意味で土臭いというか。これは奥さんのお母さんを描いたものなんだけど、肌が日焼けしている感じがこれまたいい意味で洗練されてない感じ、でも優しい感じが伝わってくる。親戚関係良好だったんだろうなあって思わせてくれます。

看板絵にもなってるのが《赤いセーターと青いスカーフを纏ったモンパルナスのキキ》。



すごくよかった〜。キキが綺麗。この絵、大好き。個人的に非常にしんみりとする思い入れがあるから、この絵、愛してる。


《果物のある静物》どうでしょう。
きれいだね〜!文句なしにいいでしょ?



なんか、今回の展示は、ひたすら癒されにいった感じ。疲れてたのかな。こういう綺麗さに癒された。

《女優エディット・メラの肖像》とかねえ、ドレスの描き方すごかったよ!

結構最後のほうの作品で気になったのが《ミモザの花束》。ミモザの花ってのが自分的に気になるモチーフだから印象に残ったのか、それとも、やっぱりあの花の色のおき方がちょっと変わってたのが気になったのか。丁寧なつるんとした塗りの作風かと思いきや、この絵は花を絵の具を盛り上げて描いていたから。

そしてとても美しい《アルルの女》。



これみてたら美人になれそうだから身近に飾っておこうか。




posted by はな at 22:46| Comment(9) | TrackBack(4) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月16日

雑誌いろいろ

とってもとっても好きそうなのが2冊ほどあったので、古い雑誌だけど借りてきました。藤田嗣治とクリムト〜♪

これからのんびり読みます。

もう1冊はケ・ブランリー美術館だそうな。
ふーむ、初耳。わくわく。

posted by はな at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

切手を買ってみた

Takさんのブログ「弐代目・青い日記帳」で情報ゲットして(いつもお世話になってます!)なかなか素敵な切手が出てるらしいとのこと、仕事の合い間を縫って郵便局に走り、買ってきました〜!!

8月1日発売だったそうで、まだきっと皆様のお近くにもあるよ〜。

広重・写楽・歌麿のかなりナイスなセレクション10枚セット!
小さいサイズの浮世絵が手に入る楽しさ!!
(まさか、これで切手収集なんて趣味にはまらないといいんだけど…)






こんな感じよ♪いいでしょ〜!


…て、今ふと不安になったんだけど、お札とかってカラーコピーするの違法なんだよね。切手も金券だから、こんなふうにカラーコピーに近いようなこと(写真に撮る)したら法律に触れる?(冷や汗)
どうしよう、まずいのかな。
お詳しい方、もしこれまずかったらご指摘ください。
すぐに撤去します。

posted by はな at 22:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月11日

デパートめぐり

美術カテゴリーだけど題名「デパートめぐり」なり〜!
それというのも、デパートのイベントスペースで開催されていた展示を2つほど見たので。

松屋銀座での「白川義員写真展 世界百名瀑」。
日本橋高島屋での「琳派と広重の展開 黒木国昭ガラスアート展」。



写真展のほうはチケットを頂いたので。
高島屋のほうは自分で目をつけていたもので、自費で。


写真展てね、あまり行ったことがないのですよ。最近はエリオット・アーウィットとかブレッソンとかに、偶然に偶然が重なって(←いやちがうだろ)行きましたが。

世界のすごい滝を撮影するプロジェクトの発表の場だそうで…。
うーん、たぶん見る側に欠落するものがあるのだろうけど、なんていうか、よくわからなかったというか…。特にアフリカ・南北アメリカのスケールが大きすぎる滝なんかだと、写真で見てもなんだかよくわかんないや…という感じで。ヨーロッパや日本なんかの、滝の周りの風景も写りこんでる写真なんかだとある程度「あ、いいな〜」て思うけど。自分の経験の範囲内にあるものしか受け入れられない私の器量の小ささ?

いやぁ…でも、滝は実際自分でその場に行って見たいよ…。行けるかどうかはわかんないけど…。

イグアスの滝なんか、実際に映像に滝そのものは写りこんでないけど、映画『ブエノスアイレス』でのほうがよっぽど印象深かったし…。

て、それはまた全然角度の違う、むしろ個人的な趣味の問題ですね!

それにしてもこれだけ撮影するのにどれだけお金がかかっているんだ…。スポンサーは誰?コニカミノルタなのかい?お金の心配をせずに自分の撮りたいものを追求できるなんて幸せでしょうね。


日本橋に足を伸ばして、高島屋へ。

これが現代における琳派かと聞かれたら「私も琳派に詳しいわけじゃないですから判断はいたしかねます…」としっぽ巻いて逃げるしか出来ないけど、でも、「琳派」シリーズと銘打たれた作品群はどれも美しかった!!見入ってしまいました!衝立とか屏風とかのデザインは私の中の琳派イメージに結構近いデザインのものがあったりして、ガラスでこんなの作れるなんて器用だな〜と感心しました。

「東海道五十三次」シリーズのほうは…

ごめん、無謀だと思った…。

しかも全作やっちゃうなんて…プロジェクトの途中で勇気ある撤退とか考えなかったのかな…?

ほんと、これってどうなの…?ありなの?いや、そりゃ、ガラスでこれを作ったていうのはものすごいと思うけど、私は浮世絵は浮世絵として見るだけで満足ですわ…すいません、黒木さん。

でもね、いくつかは「あ〜これは割と全体としてまとまっていていいかも」と思わされるものがあったのも確かです。チケットとかに掲載されている「蒲原」なんて結構よかったし。



そんな感じでかなり連戦連敗ムードの一日でした…。
アーティスト・企画関連の皆々様にはまことに申し訳なく、かつ失礼な感想ではありますが…。


たまにはそんな時もあるよね!


posted by はな at 15:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サントリー美術館開館記念展2 水と生きる(後期)

ちょっと前になりますが、行ってきたので感想を書いておきます。
忘れないうちに…。

歌川広重の《東海道五十三次》ていうのは「保永堂版」と文字が隷書体の「隷書東海道」があるのですが、これって保永堂版のほうは《東海道五十三次之内》ていうタイトルで、隷書東海道は《東海道 五十三次》ていうタイトルって決められているのかな?なんか出品リストを見るとそういうふうにタイトリングされてるから…。

と細かいことが気になりつつ…。

保永堂版五十三次の《庄野 白雨》です。



同じく広重の《江戸高名会亭尽》より「木母寺雪見 植木屋」です。




今回の一押し作品だった丸山応挙《青楓瀑布図》も見てきました!
とっても清涼感にあふれる絵!水の流れを描く線が丁寧に描かれているように見えながら、全体としては躍動感があるというもの。



今回はなんか感想が少ないな…。

結局全期通いました。日本の古いものが好きな人にとっては、とっても楽しい空間であること間違いなし!

あとは、美術館を見終わった後のカフェがもうちょっとすいていればねえ…。こればかりは難しいリクエストかなあ…。



この日は友達と行ったのでちょっとミッドタウンの中をうろうろと…。



ミッドタウンはどこも綺麗ですね〜!

そしてまだどこも混んでる!!
ちょっとお茶をしようにもどこも満席といったありさま…でも最終的には座れるお店見つけたけど。
気軽に立ち寄ってくつろぐにはまだちょっと人口密度が高すぎるかもしれません…。
posted by はな at 15:07| Comment(4) | TrackBack(3) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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