2008年04月08日

没後120年記念 絵画の冒険者 暁斎

なんていったらいいんでしょう。来てよかったな、ほんとに心の底から、しみじみそういう感じ。

また来たんですよ、京都。一人美術部強化合宿です。

大好きな大好きな、といってもそんな昔から知っていて好きだったわけでなく、たぶん知ったのは半年くらい前、それからあれよあれよというまにふぉーりんらぶ。そんな私の永遠の恋人、魂の師匠、最強に尊敬する人、天才とはこの人のためにある言葉だと思っている、そんな人の回顧展を見にきたのです。

じゃじゃん!その名も!じゃじゃん!

河鍋暁斎!

まーじーでーこの人は天才!

なんていうか、語彙の乏しい私は文末にエクスクラメーションマークをつけることぐらいでしかこの感動をあらわせないのが悲しいんだけど、とにかく言えることは、この春、全人類は京都国立博物館を詣でるべきってことですね。これは絶対です。

これはメインのポスターなんだけど...



このデザイン責任者でてきて!ちょっと!
これは私の贔屓のひきたおし?客観的に見れてないのかしら?このデザイン、そしてキャッチフレーズはないんじゃないかと思うんだけど...どうなの?
ていうかキャッチフレーズに関して言えば私の中での最初かつ最高のものは今年初頭の成田山での「酔うて候」なんだよね。あんな気持ちのいい題名はないよ。すばらしいセンス。

御託を並べてないで絵の感想を書こうと思ったんだけど、全部いいのよね、なんせ天才だから。

だから重ねて申し上げるけど、地球上の全生命体はこの春、京都国立博物館に来るべき。

出品リストの順にメモします。

《九相図》、最初の感想メモがこれって...まあいいか...順番だもんね。
死者が朽ちていく様。ぶよぶよの死体がまじできもすぎる。きもい。

《五月幟図》鯉のぼりを正面から描いているのだけどそのうまさに腰を抜かす。

《九尾の狐図屏風》中国とインドの神が富士山を使って化け物の(?)九尾の狐と遊んでる。壮大なスケールが心地よいユーモラスな作品。

《閻魔大王浄玻璃鏡図》閻魔と鬼のびっくりした表情がかわいい。死者の生前の行いをうつす浄玻璃の鏡に女性をうつしても何も悪いものがうつらないというところ。これ、女は手強い、女の本音はわからないってことなのかな?

《飴天狗図》かわいすぎる!おもしろすぎる!!飴の包み紙に小さい天狗がはりついたりいろいろしたりしてる。まさにはえとり紙!超おもしろい。

《風神雷神図》の落とし物をした雷神がいるほうの作品。雷神のえへ♪みたいな顔と、風神のおいおいまじかよみたいな顔がおもしろすぎる!暁斎のクリエイティビティーに心底脱帽!

あといろいろでてた《幽霊図》がこわすぎます。

《山姥図》山姥母さんのクールなかっこよさにひかれます。現代的にいうとヤンママ?ちょっとちがうか...

《文読む美人》これ成田山でもみた。暁斎の美人図ほんと大好き、超いろっぽい、超美人。

少女たつへのレクイエムというセクションがあるのですが、ここは相当泣けます、ていうかこれを見たおたつちゃんの親御さんは間違いなく泣いたと思う。気になる方は、続きは京博で♪

なんせ早く寝たいけど感想は書きたいということでかなり猛スピードです。

《観世音菩薩像》荘厳で、しかし、典雅で。美しい、これほどまでの仏画がかつてありましょうや?←ほめすぎ?

《花鳥図》鳥と蛇と猛禽。色と画題と、迫力の競演。

《北海道人樹下午睡図》まったくばかだから、この人は←最高のほめ言葉。ほんと馬鹿。大好き。

《大和美人図屏風》これだよこれ。これを見るために、これに導かれて京都に来たんだ。最高だね。最初フライヤーでこの絵をみたのが暁斎を知るきっかけだったんだ。そのときすごい美人だなって思った。こんな美人みたことないって。髪型がモダンだと思ったのに17世紀の髪型なのだそうだ。女性の髪型の歴史っておもしろい。でも昔の髪型って知ってもやっぱりなんかすごくおしゃれにみえる。そして実物をみて気づいたのはすっと鼻筋が通ってるように塗られている。ハイライト効果というか。着物の柄の緻密さ。楽器の模様とかがあしらわれていて華やいだ感じ。花籠の牡丹、手の花束のリアルさ。こんな存在感のある花はほかの美人画でみたことない。この花のリアリティーがすごく私をひきつけるんだろうな。よく見ると畳の線がちょっと不思議、でも変には感じない。逆に画面をひきしめているというか。視覚のイリュージョン。奥の屏風も空間に彩りを与えている。そんな感じですべてパーフェクトよ。右隻のことばかりだったけど左隻もいいのよ!これメディアを通してだと左隻ちょっとみおとりするかなーと思ってたんだけど、実物みたらいえいえそんなことは。シックな魅力をたたえているのですよ。着物の柄、羽の模様とかすごく繊細だしね!

実はこれを見ていたとき、河鍋楠美先生をお見かけして、私話しかけたの!もちろん先生は私のことをご存知じゃないです、私がメディアを通して一方的に存じ上げてるだけ。でも図々しくもべらべら自己紹介して自分がいかに河鍋暁斎先生をお慕い申し上げてるかとうとうとしゃべってきた。たぶん楠美先生、ひいてたと思う。いいんだいいんだ、人生やりたいことやったもんがち♪

そんな感じで今日の感想おわり!

最高の一日でした。


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2008年04月02日

生誕100年 東山魁夷展

先日、東京国立近代美術館で開催された、ブログを書いている人対象の「生誕100年東山魁夷展」プレビュー会に参加してきました!こういうのに参加するのって初めてだったのですが、ゆーったりした空間で見られたのがすごくありがたかったです。東山魁夷は人気画家だし、会期が始まってからだと混むだろうな、と思っていたので、とてもいいチャンスでした。もう会期は始まっています(3月29日から5月18日まで)。混まないうちに、とにかく早めにいっておくといい展覧会だと思いました。

展示風景は撮影OKだったので、ちょっとばかり写真を撮ってきました。




章立てもなかなかうまくまとめられていて鑑賞を手助けしてくれるものだったと思います。

第1章 模索の時代
特集1 ドイツ留学
第2章 東山芸術の確立
特集2 <自然と形象>と《たにま》
第3章 ヨーロッパの風景
特集3 白馬のいる風景
第4章 日本の風景
第5章 町・建物
特集4 窓
第6章 モノクロームと墨
特集5 唐招提寺の障壁画
第7章 おわりなき旅


章は基本的に時間軸に沿って流れていて、その間に「特集」ということで東山魁夷を知るうえで重要な作品群をまとめて見せてくれてました。

「日本の風景」の中の《照紅葉》や《雪の後》などに心惹かれました。ヨーロッパの風景などももちろんいいのですが、やはり日本の雰囲気を感じさせる、珠玉のような風景画を見るといいなあーって思うのです。不思議なものですね。
「モノクロームと墨」の章の中の作品はなかなかすごいもの揃いでした。もともと東山魁夷の作品としてイメージするものって、色の種類・カラフルさをおさえた色使いで勝負、みたいなイメージがあるのだけれど、それをつきつめたらこういう迫力、という感じでした。
ちなみに唐招提寺の《濤声》と《揚州薫風》は2階にあります。私、最初場所がわからなくて超うろうろしたよ!!!見に行く方、気をつけて!
新しい畳の香りも清々しく、絶妙な展示方法がにくいです。
いいものを見せてもらったって感じです。

なんか、東山魁夷に「聖なるもの」を感じてしまいましたよ。「心洗われる」という表現が決して言いすぎではないと私は思っているのですが、どうでしょう。

日本画好きさんも、今まで特にそうでもなかった人も、どうぞ、近美へ!
posted by はな at 20:58| Comment(5) | TrackBack(2) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月12日

青山ユニマット美術館

paletteさんもお気に入りの(そうだったはず!)青山ユニマット美術館にようやく行くことが出来ました。行ってみたい、行ってみたい、と思いつつ、なかなか行く機会がなくて。シャガール、そしてエコール・ド・パリの作品群がとても充実していました。美術館は4階から始まって、4階3階の常設展示を見て、2階の企画展を見る、という感じになってます。といっても、常設も企画もあまり変わりないような気もしますが…。一応、今の企画展は「特別展示 印象派展」という題名がついています。

4階はシャガール。シャガールはやっぱりいいよね。好きです。女子に好まれそうな気がする。17点出品されていました。見ているとこの人はほんとベラが好きだったんだなあ、という気になります。

3階はエコール・ド・パリいろいろ。もちろんお目当ては藤田嗣治!!すっごいいい絵があった!《バラ》という絵。そして奇跡的にポストカードがありました!まじでうれしい〜。めちゃくちゃ美しいと思いました。この絵、ずっと見ていたかったよ!



あとはキスリングとかもよかった。《長椅子の裸婦》とか、あんなつらっとした塗り方なのに、エロティック。

あと3階で気になったのはカミーユ・ボンボワ。画商に「発見された」画家、みたいな感じで紹介されていた。「様々な労働に従事しながら絵を描いていた」って説明が書かれてたよ。今で言うところのフリーターやね。これがなかなかはっとするほど美しい絵をおかきになる。《森の中》の木漏れ日、《川の岸辺の家》の水面の光、手前の木のシルエットの素敵さ。いいですねー。カミーユ・ボンボワかあ。

2階の印象派は、そんなにぴんとくるものが少なかったなあ。一番よかったのはドガの《トワレの女性たち》。女性が身づくろいするところ。ロートレック展の感動がよみがえる感じだな。ドガを尊敬していたロートレックのあの油彩画と心の中でシンクロしました。

年に2回の展示替えをするという、ゆったりした時間が流れている青山ユニマット美術館。外苑前で降りることがあったらまた行ってみたいです!

ちなみにこの日は外苑前で降りて、もう1つ楽しいイベントがありました♪それは何かは秘密だよよよん♪♪♪うきょきょ☆
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2008年03月11日

上村松篁展

横浜・そごう美術館で開催されている「上村松篁展」に行ってきました(会期:2月29日から3月24日まで)。



山種美術館で何度か見ていたので、上村松篁の絵、好きなのです。優しい感じがします。
気になった作品を出品リスト順にメモメモ。

若い頃の《春園鳥語》は要注目!山種で見る「松篁っぽさ」がまだなく、若さを感じる作風。椿の葉や枝のモダンなデザインがいい。椿の花がまたいい。ちょっと妖艶な感じがするのです。ぼわっと発光してるように描かれているところなんかも。つぼみや枯れた花もそれぞれの魅力を放っているのがいい感じ。

《春》は春の風を感じてる鳥さんの目線がかわいい作品。風にのってる綿毛がすごく繊細に描かれていてうまいなーと関心しきり。

《月夜》はとっても色が綺麗で目をひく絵。うさぎさんのふわふわ感がたまらなく愛しい。

《青柿》もいいねー。構図もいいし、色彩も。

《樹陰》とか、山種で作られた勝手な私の松篁イメージに近い。木とかの植物の下にちょこんと鳥や動物が、ていう雰囲気。

《白木蓮》なんかもよかったです。これは動物の登場なしだけど。色使いがとても優しくて、春が待ち遠しくなる、今の季節にぴったりの1枚!

《水温む》とかになると、なんか精神性みたいなものも感じます。ぽとりと落ちた椿の花に冬の終わりを感じるんだよね。見事な境地だなあ、という感じです。

もちろん松園お母さんも大好きだけど、松篁の絵も大好き!
去年はキスリングを見にきたけど、横浜そごう、いいなあ♪

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2008年03月09日

Art in You

珍しいこともあったもんです、私がコンテンポラリーアートを見るなんてね。あまりないよね、珍しいことだよね。心境の変化でもあったんでしょうか。

まあ、それはさておき、水戸芸術館で開催されている「宮島達男 Art in You」に行ってきました!(会期:2月16日から5月11日)

コンテンポラリーアートの個展ってこんな感じなのかな、出品点数が少ないような気がしたけど、それはそんなものなのかな。もう、何もかもがはじめての経験って感じがして^^;

出品されていたのは以下の通りです。
Death of Time…広島に捧げられた作品。真っ暗な部屋の中に一列に並ぶ赤いLEDカウンター。
Counting in You…壁に直接描かれているドローイング。
Counter Skin…ワークショップキャラバンでの様子の写真。
C. T. C. S. with You…鏡の中のカウンターを見ると自分も見えるっていう作品。
HOTO…新作。
Performance Drawing…いろいろドローイング。
Death Clock…自分の死亡日時を決めてその時にむかってカウントダウンする時計。
Peace in Art Passport…作品というわけではなく。ワークショップキャラバンで参加者が書いたもの?
Peace in You…壁に描いたドローイング。

まあ、いろいろ思うところはあるし、実際、作品の持つ吸引力みたいのはあったと思う。だけど、帰って来て時間が経ってふと思うのは、これ「宮島カウンターが意味するところ」っていうものに対する予備知識がなかったと仮定したら、私の目にはどんなことがうつって、私の頭にはどんなことが浮かんだだろう、てこと。「知る」ということはなかなか厳しくて、「知る前」には二度と戻れない、「知る前」の視線には二度と戻れないのよね、と思った次第です。

ちなみに、壁に描いた作品が2つほどありますが、こういうのはどうするんですか?って係員さんに伺ったら、展示が終わったらまた白く塗りつぶすんだそうです。他のアーティストも壁に描いたりするけど、それも今まで同じように白く塗りつぶしてきたって。現代アートをよく見てる方には当たり前のことなのかもしれないけど、へーそういうものなのかー、保存ってことを考えてない作品っていうのがあるんだな、ってまた新しいことを知りました。

これが水戸芸の外観です。



これは中にあった立派なパイプオルガン。



そうそう、別室で展示されていたものすごいインパクトの若手アーティストの作品、今でも忘れられません!メロディーだって少し覚えてるかも?


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2008年03月05日

ウルビーノのヴィーナス

駅などで「こんなんいいんですか?」と目のやり場に困るような広告を展開している、「ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜」展を見に、国立西洋美術館に行ってきました!初日にです!!フットワーク軽いな、自分!(会期:2008年3月4日から5月18日まで)

ヴェネツィア派の巨匠・ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》を筆頭に、西洋美術の歴史の中に花開いた「ヴィーナスの表象」をたっぷり楽しめるラインナップになっております。



順を追って気に入った作品をメモしておきます。

まず古代の壺が美しかった〜。紀元前400〜300年あたりに作られたものが出ていました。アッティカ赤像式ヒュドリア(水瓶)《アフロディテとファオン》と名づけられたものとアプリア赤像式レキュスト(香油壺)《エロスに授乳するアフロディテ》という名前のものがあって、すごい繊細で細い線で人物とかが描かれているのだ。2000と数百年も前なのに、こんなすごいことができる人がいたなんて!匠の技だなあと思いました。

ぐぐっと時間軸に沿って先に進んで、ミケランジェロの下絵にもとづくポントルモ(本名ヤコポ・カルッチ)《ヴィーナスとキューピッド》はなかなか他にはない感じでした。なんといってもヴィーナスがマニッシュ。なんかたくましい。しかも顔が男前。あと、気になるのが画面左下のほうにある箱っぽいものの中に入ってる小さな死体っぽいもの。何これ?誰かお詳しい方教えてください。

そしてそして!今回のヒロインがでてきますよ〜!
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ウルビーノのヴィーナス》!
いやー…ほんとに、ほんっとに綺麗だった。
前もってパンフレットやポスターなんかの印刷物みても「きれいだなーきれいだなー」って思ってたけど、本物の美しさは、これはもう、びっくりした。なんかため息ついて、くらくらと頭を軽く振りたい気分。これはほんと、名作といわれるだけあるわ。いやー、いやー、ほんとにきれい。語彙が貧困でごめんなさい。完璧な美しさをもっている女性の体がほんのり発光しているようなんですよ。女の私なんかが見ると「女性の体ってこんなにも美しく表現されるんだ」ってうっとり思っちゃうけど、男の人が見たらどう思うの?「いーねー♪」みたいな感じ?(すみませんね、下世話な質問で。)それともここまできれいだと美しすぎて圧倒されちゃう?これは男性鑑賞者の本音トークを聞いてみたいところです。
彼女が横たわるベッドもシーツとかきちっとしすぎてなくてリラックスした感じがする。なんていうか女神というより肉感を感じるんだよね。あとね、もちろん薔薇は描かれているんだけど、絵全体から薔薇のようなイメージがむんむん伝わってくるんだけど、その秘密は何かなって思ったら、各種「赤」がいい感じに使われてるからって感じやろか。ベッドの赤、薔薇の赤、唇の赤、そして、個人的に意外と大事だと思ったのが侍女のドレスの赤。これをつないだ弓なりのゆるやかな赤のカーブが画面をぱあっと横切っていて、それが画面全体に薔薇のイメージをもたせるように思った。
とにかく、そんなこんなで、綺麗なんですよ!

《ウルビーノのヴィーナス》熱も冷めませんが、次に行きます。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオと工房《キューピッド、犬、ウズラを伴うビーナス》。解説によるとウズラは欲情や多産の隠喩なのだそうだ。そういわれると、なんとなくウズラが俗っぽい顔をしているように見えるから不思議です(笑)

“ヴィーナスとアドニス”と“パリスの審判”をモチーフにした絵を集めたコーナーで、個人的に一番優美だと思ったのがルカ・カンビアーゾ《アドニスの死》。色がシックで、悲運のドラマを演出してる感じで、何よりこのヴィーナスの顔が美人だと思った。

パオネ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)《息子アンテロスをユピテルに示すヴィーナスとメリクリウス》ていう絵は「ヴェネツィア派」ということで、ほんと、画面全体が晴れやかに鮮やか。あと、登場人物の描写も魅力的だしなー。ヴィーナスの体にかかってるのはちぎれた首飾りなのかな?なんかそれがドラマティックにセクシーに見えた。あと、ママの衣装にかくれてやんちゃしてるお兄ちゃんが超かわいい。弟と仲良くね♪

アンニバレ・カラッチ《ヴィーナスとキューピッド》。天井を装飾するものだったとのこと。天井飾りにふさわしい斬新な構図、きれいな色使い。そしてね、目が大きくて金髪の巻き毛もかわいくて髪飾りもきれいで、なんだか少女マンガみたいって印象的でした。

ラファエッロ・ヴァンニ《キューピッドを鎮める「賢明」》。展示を通して、美しく奔放に見えるヴィーナスばかりを堪能してきたけど、最後のこの一枚、なんだか「ママ・ヴィーナス」って感じがして、それまでとは違った好感を持ちました♪

ちなみにこの日は記念講演があって、ウフィツィにたくさんある美術館をまとめて監督しているお役所(?)のトップをしている、すごく素敵なレディのお話を聞いたんだけど、ウフィツィにはこんなにすごい作品があるのよ〜という話だったので、スライドを見て楽しむだけで、特にメモはとりませんでした。

とにかく力作ぞろいで、やっぱり西洋美術はがっつり、おなかいっぱいになるなあ、と思った展示でした!

posted by はな at 16:52| Comment(16) | TrackBack(9) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月02日

山本武夫展 美人画と舞台美術

目黒区美術館で開催されている「山本武夫展 美人画と舞台美術」を見てきました(会期:2月9日から4月6日まで)。

山本武夫という画家さんは知らなかったのだけど…同時開催されていた所蔵作品の展示(藤田の絵がたくさん)にふらふらと引き寄せられて行ってきました。

「知らなかったのだけど」だけじゃ失礼なので、目黒区美術館のサイトから説明を引用させてもらいます。

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山本武夫(1910〜2003年)は、東京美術学校(現東京芸術大学)図案科在学中から小村雪岱に師事して舞台美術を学び、後に歌舞伎座などの舞台美術、舞台衣装を手掛けるようになりました。
美術学校を卒業後は、師・雪岱の推薦で資生堂意匠部に入り、グラフィックデザインを担当。その他に、新聞など時代小説等の挿絵の仕事も多く残しました。 日本の伝統的な美人画を現代的な国際感覚を取り込んで華やかに描き、江戸情緒を引き継ぎながらも、明るく親しみやすい独自の世界を創り上げたのです。
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2階が展示室なのですが、階段を上った真正面にまず1枚素敵な美人画がかけられていて、「おお、この美術館、なかなかセンスがいいんじゃないか」とか思ってしまいました。

美人画の作品群はもちろんその名の通りどれも美人ぞろい。切れ長の目だけれど、黒目勝ちっていう要素がちょっと新しさを感じさせるなあと思いました。

山本の描く美人画はなんだかちょっと頭の大きさと体の華奢さのバランスが不思議、顔の印象がばばんと前面に押し出されている、という感じなのです。それがちょっと気になった。

あとは展覧会のメインイメージにも使われている《シダル幻想》。これは並ぶ美人画の中でもやっぱりちょっと特異。19世紀末、ラファエル前派のロセッティが描いたエリザベス・シダルを基にして、とのことだそうです。



そういういわれを聞くと、伏し目がちの目、なんとなくすっと通って形のいい鼻が西洋的な雰囲気を感じさせます。

ちなみに、これは美校(だっけかな?)の修学旅行の時に描いた弥勒菩薩のデッサンとの共通性が感じられると学芸員さんがおっしゃってました。

他には本や新聞小説の挿絵がありました。本の挿絵の原画は色が塗られていたけど、これは本もカラー印刷されてたってことかな?素敵な本だったろうな〜。『小説江戸歌舞伎秘話』という本の挿絵の街並みにかかるピンクと水色の雲が特にお気に入りです。

舞台芸術ということで書割の原案の絵がたくさん展示されてました。『蝶の道行』という舞台はずっと手がけていたみたいで、何年分もの図案があります。その変遷がわかって面白い。

あと、書割だけじゃなくて小道具の扇子の図案とかもあった。それと感心したのは、もちろん仕事でいろんな人に情報伝達するための紙だから当然といえば当然なのだけど、説明の字が丁寧、説明そのものも丁寧。あー、きちんと仕事をする誠実な人だったんじゃないかなって思いました。

順路の最初に飾られていたポートレート写真、まぶたは二重(三重くらい?)でくっきりしてるんだけど、全体的にすっきりした、端正な面立ちの方でした。丁寧な仕事ぶりだし、きっと周りからの信頼もあるいい人だったんじゃないかなーって勝手にプロファイリングしてみました。



あーとーは!
所蔵作品展のほう。藤田嗣治、予想外の出品点数!!もう、うはうはですよ!結構、タイムスパン長く、いろんな作品が出てました。ドライポイントの《猫のいる自画像》っていうのも見ることが出来たんだけど、これって、油彩画であるよねえ?ちょっとあとでしらべよっと。なんかもう、プチ藤田嗣治展って感じで、めっちゃ満足、ぶっちゃけ恍惚。

他にもいろいろな画家さんが出ておりましたが、ごめん、ちょっと今日はあまり私の意識にはいってこなかった。

こんなに藤田作品もってるとは、目黒区美術館おそるべし。
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2008年03月01日

ルノワール+ルノワール展

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ルノワール+ルノワール展」に行ってきました(会期2月2日から5月6日まで)。

ルノワール好きな方、ほんとにすみません…あのとろけたバターのような女の人の絵を見るたびに「ルノワールの絵を見ると太る気がする!」とかいうわけのわからない被害妄想にかられて今までちゃんと目を向けてこなかったような気がするのですが、なんのなんの、優しい感じの絵、爽やかな感じの絵、私も好きになった絵、いろいろ来てました。

私でも知ってる有名な絵も何点か来てたけど、いいのかね、ルノワール様をこんなに集めちゃって、世界のどこかでルノワール不足起きてないか?といらぬ心配をしてみたり。



それはともかく。
この展示は父である画家ピエール=オーギュスト・ルノワールとその次男のジャン・ルノワールの作品の関連性を探るという斬新な視点の企画展です。予想外にいい感じの企画に仕上がっていて、よかった〜。これはまさに発想の勝利って感じ。

最初のほうに展示されていた父ルノワール(以下、ルノワール)の《白い帽子の自画像》がよかったです。穏やかなタッチの絵で、私の苦手な「とろけるバター系」のむせかえる感じもなく(そりゃあお爺さんの自画像にむせかえるものがあるほうが気持ち悪いですが)、ルノワールって気のいいお爺さんだったのかなあ、みたいな。最初にこれを見てなんだかぐっと印象がよくなりました。

展示はルノワールの作品と息子で映画監督のジャン(以下、ジャン)の作品を並べて展示し、ジャンがいかにルノワールから影響を受けているか、また、「影響を受ける」というような受動的なものばかりでなく、いかに積極的にオマージュをささげているか、ということを検証します。

私が特に好きな組み合わせはルノワールの《陽光の中の裸婦(試作、裸婦・光の効果)》とジャンの『草の上の昼食』です。
ルノワールの絵のほうは、彼の裸婦の絵なのに好きだわ、と思った。緑の中で日光と陰がおりなす陰影がいい感じだからかな。いいなーと思ったよ。ジャンの映像のほうもとってもとっても魅力的!若い奔放な女性が川のほとりに走ってきて服を脱いで水浴します。それをまじめそうな男性が(教授?)追いかけてきて、一糸まとわぬ姿で泳いでる女性に気付いて「あ、見ちゃいけない!」と思い目をそらしつつ、でも見ちゃう〜みたいな。かわいい…(笑)なんかすごく魅力的なフィルムになってました。絵と映像、両方に感じる、自然の中の開放的な体の美しさ、みたいな。

そうそう、これはもともとフランスで開催された企画をもってきたわけなんだけど、日本で開催するにあたっても特に映像に日本語字幕とかは入れてなかったんです。フランスの人だろうなーと思われる女性が見にきていてせりふにくすっと笑ったりしてるのを横目で見て羨ましかったけど、日本人は日本人として字幕なしで純粋に目にうつる映像だけを鑑賞するっていうのもわるくないなって思いました。でも、やっぱりセリフがなんて言ってるのかちょっと気になったり…ごにょごにょ。

あとはジャンの『ピクニック』という、ルノワールの《ぶらんこ》にオマージュをささげたフィルムがよかったです。これは共通性と言うより、絵画と映像の違いがでてるというか。《ぶらんこ》ももちろん楽しげな雰囲気が伝わってくるけど、一瞬を切り取るっていうことはやっぱりぱっと見た目、映像より静的な感じがする。その点、映像はねー、切り取れる時間も長いし、ストーリーもてんこもりできるし、という感じです。ブランコを勢いよくこぐ若い女性の生き生きとした感じ、あと、そばを通りかかった若い聖職者と思われる男性がみとれていて、年配の聖職者にこずかれるところとか、きゅんとくるね。

そして、今出品リストを見返すとオルセー美術館から出てきているものが結構ある。なんとなんと、という感じです。さすがオルセー、きっといっぱい持ってるってことなんだな。

なんだかまたこの世の中に「私の好きなもの」が増えました、という感じで、気持ちのいい展示でした!
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江戸の出版仕掛け人part4 幕末の浮世絵と絵師たち

たばこと塩の博物館で開催されている「江戸の出版仕掛け人part4 幕末の浮世絵と絵師たち」に行ってきました(1月26日から3月9日まで)。

河鍋暁斎が見たくってね!最近、心の中で暁斎追っかけてるから。

こんなフライヤー。ちょっとおかしい(笑)



そして、解説もカラー図版も豊富な超りっぱなパンフレットもいただきました!



ここの博物館に来るたび、これで100円なんて申し訳なさ過ぎる、ほんとJTってお金持ちだなあ…とひれ伏したくなります。私、個人的にタバコは苦手なんだけど、でも、ここの博物館は好き。

で、お目当てだった暁斎の作品は《狂斎百狂 どふけ百万編》という攘夷論を風刺した絵(だよね?だったよね?)。中央に五本足の蛸(→御本丸・江戸幕府、そしてそれは骨なし)がいて、周りには攘夷論者達がちっとも進まない攘夷を繰り返し唱えるだけ、という様子を念仏百万遍になぞらえて描いてます。ともかく暁斎は面白い人です。

あと気になったのは、国周は色の綺麗な浮世絵が散見されたけど、これは発色のいい顔料が使われてるからかな、それとも保存がいいのかな、とか、芳年はちょっと血ですぎです、とか、そんな感じです。

いろいろ面白い絵が満載で、いい企画展でした!

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浮世絵の夜景

太田記念美術館に滑り込んできました。
「浮世絵の夜景」(会期:2月1日から2月26日まで)。
美術ブロガーさん何人かが行かれていて、それにとても気になる絵があったのでこれはぜひとも自分の目で確かめたいと思って行ってきました。

その絵は葛飾応為《吉原格子先の図》です。



ブログでみていたときはなんとなく「幻想的な絵だな〜」くらいで気になっていて、作者についてもまったくアンテナにひっかかっていなかったのですが、これ美術館で本物を目の前にして、なおかつ解説を読んでびっくりです。葛飾応為→葛飾北斎の娘・お栄。そして、この画風、あの去年の不思議な不思議な里帰り北斎展で見た作品群を髣髴とさせる不思議なセンス。あのときの作品も確か伝北斎とか北斎工房とかいうのが多かったと思うけど(図録を買ってないので確認できないのですが!)なんか自分の中で言葉にできない納得を感じました。生没年不明ということだし、これまであの不思議北斎展以外でこういう感じの応為の作品を見かけたことはないと思うんだけど、私の中で「追いかけたい不思議な魅力のある画家」がまた一人増えたくらいの勢いで衝撃を受けました。

もうこの応為の作品を見られただけで満足、てくらいだったのですが、ほかにも気になった作品をいくつかメモメモ…。

歌川国芳《八町づつみの夜のけい》は遠く後景に影絵のようなたくさんの小さい人々が描かれていてちょっと珍しい感じの雰囲気を出してます。

鳥居清長《大川端楼上の月見》団扇の柄が繊細に描かれていたり、すらっとした美人の着物の柄が美しかったりと、大変優美です。中央のあたりでかけられてるのは蛍の光を利用した灯りかな?いいですね〜いいですね〜。

今回は「夜景」ということに焦点を当てたため、「夏の夜に涼む」っていう画題が多く見られたけど、それもまあご愛嬌ね!夏の夜がいいのは古来からのことですし(枕草子参照、なんちて)。

歌川国貞《江戸の夜》。こちらは冬の情景。まさに「江戸の夜」という題名がどんぴしゃな素敵な絵です。追いかけられて走り抜ける犬に驚く芸者の三人連れ、向こうを行く寒参りの少年達、遠くに描かれた犬を追う人たち。驚いた芸者の持つちょうちんの傾き具合がドラマチックです。なかなか動的な瞬間を切り取った一枚。

時代がもっと近くなると川瀬巴水。やっぱりこの人の作品って美しいと思う。《春之月(二宮海岸)》が特に美しいと思いました。月に照らされた水面とシルエットとして浮かび上がった松にうっとりします。

あと夜景かどうかわかんないけど豊原国周《里見八犬士之内 犬坂毛野》が八犬士の中で一番かっこよかった♪女装して父の仇を狙っているそうです。こういう美少年が女装して、みたいな、牛若丸っぽいのってかっこいいなーって思うよ!

そんな感じでとても楽しめました!
葛飾応為気になるよっ!
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2008年02月26日

没後50年 横山大観 ―新たなる伝説へ

新美で開催中の「没後50年 横山大観 新たなる伝説へ」展に行ってきました(会期:1月23日から3月3日まで)。いやいや、こちらも混んでいた。入場待ちとかかかっていてね。やはりビッグネームは集客力があるなあ、という感じです。

全体的にとてもよかったです。満足度とても高め。





気に入った作品は以下の通りです。

《村童観猿翁》優しく楽しい雰囲気の絵。テレビの受け売りだけど、確か、この子供たちは美校の同級生の幼い頃を想像して描いたとか?誰が誰のつもりで描かれたかとか、名前を知ってる画家とかがいたら楽しいだろうな〜と思いつつ、そんなことがわからなくても、なんだかみんなやんちゃ坊主って感じでかわいかったです。

《阿やめ(水鏡)》花と人物の大きさのバランスが幻想的な雰囲気を醸し出している作品。ちょっと幽明の境って感じもする不思議な雰囲気。

《迷児》なかなかおもしろいモチーフ。東西の賢者たちに囲まれた迷児。これだけいろいろな人からいろいろいわれたら迷うでしょうに。でも、きっとどの人が言っていることも根底ではつながっているのだと思いますよ。キリストと思われる人物が、あんまりヨーロピアンテイストでない顔をしてちょっとおかしかった(笑)

《観音》誠実そうな表情に好感を持ちました。左上のほうに垂れている緑の木の葉が色鮮やかで、葉の形もなんとなく珍しい感じで、ちょっと日本ではないような、異国情緒みたいなものを感じました。

《秋色》はとっても大好きになった作品。やっぱり私はこういうの文句なしに惹かれるんだろうなあ。色づく植物の葉のグラデーションがゴージャス!

ポストカードを買いましたが、これは作品の一部です。




水墨画なども。《飛泉》。とーっても黒が鮮やかだと驚きました。そして霧がかった辺りのグラデーションも繊細だし。

《龍蛟躍四溟》の龍などは、うひゃひゃって感じで笑ってそうな、ちょっとひょうきんな感じです。ちょっと癒し系の龍でした。

《野に咲く花二題(蒲公英・薊)》は優しい感じの絵で、こういう素朴な画題もいいなあって思いました。


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ロートレック展 パリ、美しき時代を生きて

なんかやたらとマスメディアで広報されてたような気がする、この展覧会…なもんだから、とっても混んでいた!ひー。やっぱり展覧会は早め早めに行くのが大事ですね。

「ロートレック展 パリ、美しき時代を生きて」(1月26日から3月9日まで)



そしてとらさんのブログ(http://cardiac.exblog.jp/)で前もって教えていただいていたにも関わらず、出品リストが用意されていないことをすっかり忘れていた私。ちょっとさあ…どうなの、そのへん?ちょっとミッドタウンにあって、ちょっと集客力の高い展示だからって図に乗ってない?出品リスト作るって来客に対する最低限のサービスだと思うんだけど…。デパート系の展示じゃあるまいし、仮にも「美術館」なんでしょ?どうなのよ?

と、憤懣やるかたない私でしたが、展示作品達には魅了されました!

華やかで浮かれ騒いで上機嫌な作品もいいのですが、この時私の心にじわっとしみこんできたのは、娼婦達をモチーフとした作品、舞台をおりた女性達の顔、もしくは独特の陰影をもつ油彩画かな。

やはり人気が出そうなのがポストカードにされるんだろうけど、ご他聞に漏れず私も好きになった《赤毛の女(身づくろい)》です。



明日があるのかどうなのか、それすらもよくわからない、自分の人生が「正しい」のか「美しい」のか、そんなのもう知らない、だけど。
そんな生きることの切なさに優しく寄り添ってくれる気がしました、これらの作品は。
ロートレックが私と知り合いだったら、彼は私のこと絵に描いてくれるかな。私なんかじゃまだまだ人生苦労不足かな。そんなことを思いました。



冒頭で書いたとおり、サントリー美術館の株価が私の中で暴落して「グッズなんて買うもんか〜!」って思ってたんだけど、魅力に負けた…。図録とか、ベル・エポックのざわめきが聞こえてくるような華やいだ雰囲気の絵本といっていい具合だったので、ついつい買ってしまいました〜!

あとシャノワール(黒猫)というお店の広告シリーズ。猫好きとしては何かほしいと思っていたところ。ポストカードになってたのはこれ(注:ロートレックの作品ではないです)。



でもね、ほんとはこっちの猫ちゃんのほうが好きなんだー。

これは図録から写した写真。



あとは図録眺めて楽しもうかな。

うーん、でもサントリー美術館はもっと謙虚になったほうがいい。


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2008年02月12日

春のめざめ

山種美術館で開催中の「春のめざめ」展に行ってまいりました(会期:2008年1月5日から3月9日まで)。お正月のためのおめでたい感じの絵や福々しい感じの絵の展覧会です。

というわけで…個人的には「うーむ、ちょっと来るタイミングが遅かったかな。」という感じでした^^;だってもうお正月は遠くなりにけりだし、1月は行く、2月は逃げる、のばたばたの毎日で、そういう「めでたや、めでたや」みたいな気分って吹き飛んでたからね。教訓:こういうお正月企画はおめでたい気分のうちに行くのがよい。でも、それでも、美しい絵ばかりで、心ゆくまで愛でてまいりました。

松園の絵は集客力が高そう。だって、やっぱりきれいなんだもん。



気になった絵についてメモします。

渡辺省亭《葡萄》。製作年は「明治‐大正初期」とな。かごを描く細い線とスモーキーで上品なパステルカラーが印象的だったのです。自分の中でなんで印象的だったかというと、たぶん脳細胞のどこかで藤田を思い出したんだろうな。あと、葡萄を食べようとしている(?)ねずみくんが愛らしゅうございました。今年の主役ですし。

やっぱり大好き、上村松園、みんな大好き、上村松園。今回は2作出ていました。《春のよそをひ》と《つれづれ》。《春のよそをひ》は上掲の私撮影のひどい写真をご参照ください。

これがちょうど展示室の角のところに並んで展示されてあって、交互に見比べて楽しんできました。松園は女の人のいろんな表情を描くね。《春のよそをひ》の、伏目がちな中に見られる、自分の美しさを自覚している女の自信みたいな表情と、《つれづれ》の、リラックスして、関心・意識の焦点が散漫に気持ちよく緩んでいる感じ。どちらの感情も一人の人間・一人の女性の中に存在するものなのだろうなあと思いました。

お母様を取り上げたから、というわけではありませんが、上村松篁《春鳩》も好きです。今度横浜そごうで松篁展やるそうなので、相当楽しみにしてます。
やっぱりこの人の優しい感じの色合い大好き。癒されます。白い梅(もしくは桃?花に無知でごめんなさい><)の若枝の色こそ「春のめざめ」。

遠目で見たとき「あれ、だれの絵だろう」と思ったのが東山魁夷《春来る丘》。東山魁夷って私の中で、どんな風景も独特の色合いを出してくれる画家っていう認識があったんだけど、この絵は一見普通の色使いの田園風景に見えたので「意外だな〜」って思ったのです。で、ゆっくりゆっくり見ていたら、このくぐもった黄色で色付けされている丘というか畑みたいな部分はいったいどんなところなんだろうって思ったんです。若草が萌える色なのか、それよりもっと早い時期の土の色なのか…。題名が《春来る丘》だから…。うーん。なんて、いろいろ想像をめぐらすことが出来て楽しかったです。東山魁夷も今年大きな展覧会あるよね。混まないうちに行こう。

一番新しい画家さんは林功《月の音》。山種美術館の展覧会って、その会に1枚くらい、比較的時代の新しい画家の絵をぱっといい感じに出してくれることがあると思うんですが、ご他聞に漏れず今回の「新しめの画家の絵」も気に入りました!白を基調とした色合いの絵なんだけど、白って不思議な色だよね、それを混ぜただけで、こんなに神秘的で夢かうつつかわからない雰囲気になる。ピンク色した椿が夢の中の出来事のよう。まさに題名どおり「月の音」を感じました。


さあ、春の桜の展示も楽しみな山種美術館でございました!


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2008年02月05日

河鍋暁斎をおいかけて

成田山で河鍋暁斎が見られる。

その情報を最初に耳にしたとき「でも、行かないなあ…」って思いました。
去年の秋、狩野永徳展で上洛した折、偶然に見つけた河鍋暁斎。08年、つまり今年の春にそれを追いかける覚悟は出来ていたのですが、なんとなく、私の気持ち的には京都より成田のほうが行くのがしんどい…。成田ってめちゃくちゃ遠くて疲れるイメージない?だから行くつもりはなかったんですよね。

でも、成田山での暁斎展を見に行かれたアート系ブロガーさんの書かれた記事をちらほらと拝見しているうちに…むずむずと…。

決め手はずっと前にpaletteさんのブログでお話を聞いていた、絶対いつかこの目で見たいと思っていた「新富座妖怪引幕」、展示されるのが今回限り(←それ、どういうこと?もう永久にお蔵入り?京都にもこないの?)というのを知ったことです。

これは行くしかあるまい…!

そう思って行ってきました!!!!!


はい、つきましたよー。こちら、お寺の正面。


赤がかっこよかったから撮りました。


色鮮やかな三重塔。




さてさて、お寺の奥の方にうねうねと入っていき、霊光館というお寺関係の文物を展示するところっぽい建物に入ります。こちらの展覧会タイトルは「天才絵師河鍋暁斎」です。



いやはや、来てよかったよ!!ものすごく魅力的な作品に出あってきました。

《風神雷神図》。暁斎の絵の肉や筋や骨格の描き方に惹かれます。この風神様・雷神様もその体のダイナミクスが小気味よいのです。そして「いやっほー!」とか言ってそうないたずら小僧のような表情。

《大森彦七鬼女と争うの図》。これは成田山に奉納された絵馬。展示のビジュアルにも使われているもの。鬼となった元・お姫様。すごい迫力です。その鬼の肉体・爪の迫力もさることながら、着物や髪の一本一本までもが襲い掛かってくるような感じ。

暁斎はいろんな、ほんとにいろんな画風の絵を描くのです。《弾琴五美女憩図》みたいな綺麗な絵も描く。ちなみにこの絵は表装にあたる部分も自分で描いていたように見えたんだけど、それもなかなか華やかでセンスよくって面白かったです。

《吉原遊郭図》も好きだな〜。この踊り狂ってる男、ほんとあほな顔してるわ。馬鹿だね〜。馬鹿すぎる。徹底的に馬鹿になれた酒宴の楽しさを知ってるからこういう馬鹿な表情を描けちゃうのかな。あと、お金を請求されてる男の人の顔も楽しい。

そしてすごく好きになったのが《文読む美人図》。こういう感じの美人図に最初惹かれて河鍋暁斎の名前を認識したんだよね。でもそのあと、あまりにも幅広い芸風に驚かされて、尻子玉を抜かれましたが(表現がお下品でごめんなさい、尻子玉については後述?)。髪型が素敵なんだ。解説によると「稚児髷(ちごまげ)」というそうな。あと、艶やかな着物に紐みたいなもので帯のように腰をとめているんだけど、それがすごく素敵。

《白衣観音図》は先日三井記念美術館で見比べた酒井抱一と暁斎の観音図だったら、抱一の観音図のほうに表情が似てました。涼やかな表情ってことがね。暁斎ってほんといろんな雰囲気を自在に描きわけるんだなあって思いました。

あと暁斎の娘の暁翠の作品も出ていました。《布袋に唐子図》とか《百福図》とかすごく好きだった。この娘も陽気な天才だったんじゃないかと思ったよ。

同じく暁翠の《寛永時代美人図》は暁斎の美人図と雰囲気似ていたなあ。好きです。

で、順路の最後のほうに展示されていた面白すぎる絵たち。《風流蛙大合戦之図》《新板大黒天福引の図》《暁斎楽図 化々学校》。いくら見ても見飽きない。お化けの学校で河童の生徒が”SI RI KO TA MA”を習ってるのには不覚にも吹き出しました(軽く、ね。大丈夫、周りに人はいなかったから。)

こちらの展示はこれくらいでしょうか。

ほんとにいろんな多彩な世界を見せてもらいました。今、私の中で非常に河鍋暁斎熱が高いです、非常に惹かれてます。

そしていよいよあの引幕を見に…!
場所は歩いて5〜10分程度のところにある成田山書道美術館にうつります。

どきどき。

こちらの展示会タイトルは「酔うて候―河鍋暁斎と幕末明治の書画会」とのこと。ざくっとわけると、霊光館で展示されていたのは落ち着いて取り組んだもの中心、こちらの書道美術館に展示されているものは即興性が高いもの中心というふうになってます。

どきどき。



で、見たんですよ、《新富座妖怪引幕》!

感動しました。ほんとに感動した。
セリフが安っぽくって恐縮ですが、元気をもらった。勇気をもらった。心の中に晴天が広がって、気持ちいい風が吹いた。

近寄って見た時は「酔って短時間で描いたからさすがに線がものすごく荒いなあ〜」なんて瑣末なことを考えてたのですが、この引幕が展示されている場所からぐっとひいたところに絨毯がひかれていて、靴を脱いで座って見ることができるようになってたんです。実際に劇場にいる目線で見られるように、ていう粋な計らい!ここで、もう、思う存分堪能してしまったよ!あれだけの大画面を破綻なくまとめる、なんてもんじゃない、引幕から溢れ出さんばかりの痛快なるエネルギー。

来て本当によかったって思いました。

その他の作品も書画会で描かれた軽妙洒脱なものばかり、みんな楽しめました。《布袋の蝉採り図》とか《群猫釣鯰図》とか好きだったかも。

ちなみに書画会の雰囲気↓




あの引幕と私は一期一会かもしれません。でも、強く願えばまたいつか会える日があるのかもしれない。それはわからないけど、今日は本当にきてよかった。


お土産にこんな猫の絵のポストカードを買ってきました。






posted by はな at 22:55| Comment(7) | TrackBack(4) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

近代日本画美の系譜

この日の美術めぐりの最後は新装オープンした大丸東京の10階、大丸ミュージアム東京で開催されていた「水野美術館コレクションの名品より 近代日本画美の系譜 ―横山大観から高山辰雄まで―」でした(会期:1月10日から28日まで)。これより前に見た3つの美術館で時間オーバーしてもいいように、遅くまでやってるデパート系展覧会を一番最後に持ってきたのは我ながらキレモノだな、と思っていたのですが、思ったより早く大丸についてしまった感じで、キレモノでもなんでもないじゃん!みたいな一人つっこみを心の中でしてました。

なんかもう、ものすごく私好みの絵ばっかりで、ほんと、大興奮!これはいつの日か水野美術館に行かなくてはならないって思いました。強く、強く思いました。




会場に入るとまず上村松園の《かんざし》。いきなり素晴らしい作品をもってくるなんて…入り口で人が団子になっちゃって動かなくなりますよ!!これは↑のチケットなどにも使われてます。陳腐な言い方ですが、ほんとに松園は美しいよね。大好きです。いつかねえ、松園の描く美人はなぜいいのかってことを自分の中で考えてみたい。本を読んだり、作品をいっぱい見たりして。

下村観山《獅子図屏風》は獅子が雄大な感じ、でも、なんとなく優しい感じがする絵。それは色使いが素敵だからかな。家族の風景だからかな。子獅子がかわいかったです。

上村松園《汐汲み之図》。私の中の松園イメージのメインの部分とはちょっと毛色が違う感じ、周縁的松園。汐汲みってなんだろう、塩にするために海水を汲んでる労働をしているところかな?(←あくまで推測)そんな感じで、「清らかで観ているこちら側まで背すじがきりっとするような美人図」ではない、働いている女の人を描いてます。着ているものの崩れも気にしないよ〜って感じのあけっぴろげな感じがいい。表情もリラックスしていて、ちょっと違った松園を見られたようで、好感持てました。

鏑木清方も出品されていました。もちろん、これもよし。これも自分のテーマなんだよな。松園・清方と並び賞されるけど、さて私にとってのこの二人というのはなんなんだ、ということを自分の中で深めたい。

児玉希望《春月》は綺麗だった〜!白い花が月に照らされている風景。

加山又造の《猫と牡丹》。これ、水野美術館じゃない別の美術館の所蔵作品てことでどこかで画像を見た記憶があるんだけど…気のせいかなあ…。それとも似た絵を何枚か描いてるのかな?ともかく、好きな絵。少しデフォルメされた猫と牡丹のバランスが絶妙な魅力を発しています。猫の絵があると九割九分ポストカードを買ってしまう、という癖があるので、これも買ってしまいました♪





いやあ、ほんと、最初にも書いたけど、すごいコレクション。いつか行ってみたいものです、水野美術館!


posted by はな at 17:39| Comment(17) | TrackBack(8) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

王朝の恋 ―描かれた伊勢物語―

この日はずいぶんと歩きました。三井記念美術館→ブリヂストン美術館→出光美術館。そのあと、大丸東京にも行ってね、ということで、かなり散歩したことになるのではないでしょうか?暑いのより寒いほうがずっと好きなので、そこそこ空気は冷たかったけど、てくてく歩くのも苦にならない一日でした。

出光美術館で開催中の展覧会「王朝の恋 ―描かれた伊勢物語―」に行ってきました(会期:1月9日から2月17日まで)。

むかし男ありけり…たーくさん恋をした男がありけり、でございます。

小さい頃に子供向けの古典文学の本を読んで、そのシリーズの中に伊勢物語もあったはずでして、その程度の知識で恐縮ですが、とても楽しんでこられました。
ほんにまあ、日本人は伊勢物語が好きなんだなあ、恋して恋していっぱい恋して、お話それぞれも短くて印象深いし、共感もするだろうし、これをもとに何か作品を…!ていう気持ちになるんだろうなあ。そんな風に愛されてきた文芸作品っていうのは幸せだね。

まず英一蝶の《見立業平涅槃図》にニヤリ。涅槃の業平の周りで様々な女の人が泣いてます。もてますねえ、業平。もてすぎです。女泣かせまくってます。おもしろい絵。東博所蔵なんだそうです。いつか東博で再会して心の中でぷっと吹き出す日がくることを楽しみにしてます。

とても発色が美しいな、と思ってびっくりしたら、比較的新しい時代の作品だった(昭和4年)というのが中村岳陵他による《伊勢物語絵巻》。いつの時代になっても、この雅な恋の世界を描いてみたいと思わせる普遍的な力があるのですね。

そして、ずらっと並んだ伝宗達の《伊勢物語図色紙》の数々。うーん、なんというか、これだけ並んでいると、あっぱれと言いたくなりました。いろいろ悩んだり、かけひきしたり、うまくいったり、いかなかったり。ずいぶんとまあ、みんな恋に生きていること。なんだか人生楽しそう、て感じです。

「東下り」のセクションに入って…酒井抱一《八ツ橋図屏風》!これ見たかったんです。美しかったなあ〜。見ることが出来てよかったなあ…。これ、私、実物は初めて見たのよね?どこかで画像だけ見て、「見たいな〜」という思いが募って、見たという妄想を抱いてたりするわけじゃないよね?よね?よね?なんかそんな感じで夢うつつでしたが、さすが抱一さん、いつ見ても素晴らしい作品ばかりでございます。

あと、このセクションで、「どう伊勢物語と関係するのかな?」と不思議に思ったのですが、その絵のパワーがとても印象的だった伝俵屋宗達《果樹花木図屏風》。手前側の植物の大胆な強調に驚かされました。

他に気に入ったのは山口蓬春の《扇面流し》。とてもデコラティブ、金や他の色がとても鮮やか。ゴージャスな一品でした。

江戸時代のもので《見立伊勢物語・河内越図》という絵があったのですが、これ好き。お芝居の1シーンみたいな感じでかっこいい。着物が赤でとってもまばゆいし。

恋の物語が好きなのは今も昔もかわらないのだな、と思いました♪

posted by はな at 17:36| Comment(4) | TrackBack(2) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブリヂストン美術館 コレクション展

東京界隈に来たら、私の大好きな美術館であるブリヂストン美術館に来ないわけがありません。来るたびに癒され、来るたびに発見がある、素敵な美術館です。1月27日までコレクション展ということで、いつもの名品が展示されていたので見てきました。





グレゴリオ・ラザリーニ《黄金の子牛の礼拝》という絵が気になりました。ストーリーがわからないなあ…と思って帰って来て検索してみたら、こんなページが。
http://www.salvastyle.com/data/theme_01_01_19.html
そうか、まだ旧約聖書のころの話なのか…。でも、怒っているモーセとか印象に残らなかったなあ。中央の子供が主人公の絵なのかと思った。今度行くとき、このストーリーを念頭に、隅々見てみよう。こういうふうに気に入った絵を何度も見にいけるのはいいよね!

そしてこの美術館に来るたびに惹かれるのがマネの《自画像》(1878−79)。これを見るたびにね、この人どんな人だったんだろうっていろいろ空想するんだ。濃密に屈折した自意識を感じる。俺のことわかってほしい、でもわからないだろうな、ふん、みたいな感じの人だったんじゃないかなーと思っていつも絵の前はなれるのです。自画像って面白いよね。

この美術館に来てなんといっても嬉しいのは大好きな藤田の大好きな絵が見られること。《猫のいる静物》。玉子の色の塗り分けも健在だし(私はこの玉子3つを見るといつも満足する)、いったいこれはどういう瞬間の絵なんだろうって思わされるミステリアスな猫と小鳥の関係にもひきこまれるし。これを見るためだけでもこの美術館に足を運ぶ価値があるよね。

そんな感じで満足して出てまいりました。

あ、ちなみに、猫好きの私のひそかなお気に入りが、エジプトの聖猫っていう装飾品(?)です。すらっとしていて、超美猫!…ほしい。
posted by はな at 17:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「国宝 雪松図」と近世絵画

もう会期は終わってしまったのですが、行った記録を残しておきたいと思います。
三井記念美術館で開催されていた「『国宝 雪松図』と近世絵画」です(会期:2007年12月23日から2008年1月31日まで)。



三井記念美術館、初参戦でした。きれいだね〜!うっとりするような建物。すごくきれいで品のよさみたいのを感じるよ〜。

絵画の部屋の《誰が袖図屏風》というのが面白いなあ、と思いました。いろんな着物が置いてあったりかけてあったりする様子が模様になっているのです。なんだか服をかけてる様子を部屋の装飾具の模様にするなんてユニークだなあと思ったのですが、こういう風に「誰が袖図」っていう風に文様に名前がついているということは、こういうモチーフの道具は他にも作られてたりするのかな?ちょっとそのあたり知りたくなりました。

そして、丸山応挙の国宝、《雪松図屏風》を見ました。雪吹雪が吹き荒れた後の静けさの一瞬、というように感じました。背景の金色がしんと張り詰めた荘厳な冬の空気を表しているようで。構図も素敵でした。右の老松の厳しさにぐっとつかまれた視線が、左の若松の若々しさでふわっと受け止められるような全体の流れ。絵全体から来る冬のダイナミックな美しさをいつまでも味わっておりました。

同じ部屋にあったのが応挙の《稲麻綿図》という絵。ずいぶん、さらっとした感じですが、これもとても気に入りました。なんていうか、この無駄な力が入ってない雰囲気と絵柄が、衣食足りることへの感謝を呼び覚まします。

次の部屋に行くと、お正月らしい、にぎやかな遊び道具が勢ぞろい。山口素絢の《百人一首歌留多》。…ほしい!これ、ほしいよ!きれいに色が残ってるものだなあ〜と感心しました。山口素絢氏は応挙の高弟ということだそうです。

また別の部屋に行き、「初公開・松坂三井家新規寄託品」ということで展示されていたものの中に観音図が2枚。河鍋暁斎と酒井抱一のものでした。まるで雰囲気の違う観音図。抱一のはお上品でございます。暁斎のは小さい画面ながら、元気一杯の観音様。この人の作品をいろいろ見てみたいと思います!

ちなみに、こちらの美術館、茶道具がとても素敵で、ついに私の中の「お茶を学びたい」目盛りが振り切れてしまい、ミュージアムショップでこんな本を買ってしまいました〜♪えへ!





まずお茶会にお呼ばれする時のいろいろについて勉強できるんだけど、これがなかなか読み応えがありました。深いなあ…。勉強することたくさんあるなあ…。底なしに深いです。しかも、このほん、シリーズになってて、めちゃめちゃ量多いのね。全巻コンプはきついなあ…。

posted by はな at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月24日

ルーブル美術館展 ―フランス宮廷の美―

東京都美術館で今日から開催の「ルーブル美術館展 ―フランス宮廷の美―」に行ってまいりました(会期:1月24日から4月6日まで)。

装飾工芸品は大好きなんだけど、でも、今の貧乏暇なしの妙に忙しい時期に時間を割けるのか…横山大観が先ではないのか…ということで直前まで悩んだのですが、初日にルーブル美術館の館長さんの講演があるということにひかれて、えいやっと行ってきました。

結果は…!行ってよかった!!これは疲れたときに甘いもの食べるのとおんなじ。疲れた心にブドウ糖。

こちら看板。この展示のイメージカラーはこのどピンクなんでしょうか?
でも、嫌いじゃないよー。





展示内容は…最初にがつんとくる、きまくる、という感じです。甘々の極上スイーツにやられます。で、時代に沿って装飾工芸品が変化していく様子がわかるようになってるのですが、個人的には最初のめちゃ甘なのが好きなので、その反動でマニッシュでアグレッシブささえ感じさせるような様式になってきたときはちょっと残念さを感じました。そして、マリー・アントワネットとかの時代になると、また洗練された華やかさが見られるのですが、最後はなんていうかもう革命&新時代の到来を感じさせて、あんまり「宮廷の贅を尽くした華やかさ♪」みたいのが尻切れトンボになった感もあって、「ああ、古きよき時代は長くは続かないのね…」という感じでした。ていうか、この展示の続きとして、ベルばらが読みたくなった。従姉の家で読ませてもらったことがあるけど、自分で買いたくなった。

展示で気になったことをメモメモ…。

展示前半の甘々さを称して「ロカイユ様式」というそうです。解説を根性でメモってきたのでここに記録♪

ロカイユ様式:貝殻や水辺の植物、様々な動物をはじめ、あらゆるジャンルを混合し、自然から着想を得たモチーフ全体に基づく奇抜な創意や造詣への関心、大胆な再解釈が特徴。

まさにそんな感じかな。個人的にはそのロカイユ様式と東洋趣味が絶妙にマッチした作品群が好きでした。中国の磁器・日本の漆器(まさにchinaとjapan!)にまばゆいばかりの金色のうねるような装飾を施して1つの作品に仕立て上げているのです。美の極致って言ったらほめすぎ?言葉がインフレ?

ポンパドゥール夫人のベルヴュー宮にあった《蒔絵脚付きポプリ入れ》なんて、とっても趣味がいい!ポンパドゥール夫人のもので他にも東洋趣味を感じさせるものがたくさんあったのですが、どれもごりごりに東洋をおしだして東洋オタクくさくなんて絶対にしないんです。あくまで最先端の装飾様式を施して今様にする、そこが素敵なんです。

《空色の渦巻きのある「エベール」の皿》とか。右上の花文様はおとなしめなのですが、名称にもあるとおり、左下の「空色の渦巻き」がいいんです。奔放ともいえる金色の線が描く渦に空色がつけられている。この空色がね、東洋を思わせるんですよ、しゃれてるんですよ。

フランソワ・ブーシェ《アモールの武器を取り上げるヴィーナス》、《ヴィーナスの化粧》。ああ、どちらも甘美。文句なしに甘美でしょう。こむずかしいこと関係なく。この世はケーキでできているって感じ。で、このアモールってのは天使くんなのですか?外国語知らないんだけど、響き的に「愛」とかそういう意味?なんか、すごくやんちゃ坊主っぽくって愛らしかったです。

ルイ15世の娘達のもの、ということで、《ベルヴュー宮の王女たちの脚付き壺》。これは中国磁器を使って作品に仕立て上げているもの、同じく《ベルヴュー宮の王女たちのコーナー家具》っていうの、これは蒔絵を施した立派な日本の工芸品が使われている模様。こういうの好きだわー。

珍しいなと思った絵でアドルフ=ウルリク・ヴェルトミュラー《狩猟服を着た王妃マリー=アントワネット》というものがありました。狩猟服を着てるっていうのが珍しい感じでしげしげと見てまいりました。解説によると鼻なんかの描き方が王妃の欠点(?)をリアルに描きすぎちゃって不評だったって書いてあったけど、私的にはかわいくていいなーと思ったけど。

このあたりにエッチングの版画作品がいくつか挟まれます。パリの女性の大げさなファッションやらなにやらを風刺したもので、結構面白いです。この展覧会の中にこれを持ってくるとはなかなかブラックジョーク的だなあ、とも思ったのですが。

元はポンパドゥール夫人のもので、持ち主が転々として…みたいな感じで解説があった《蒔絵水差し》。これ、いいですよ。金色の鎖で装飾されてるんですけどね、これがたまらなく美しいのですよ。


人生に甘いものがほしくなった方におすすめの展覧会でした!

ちなみにフライヤーが数種類出ていて、かわいかったから1枚ずつもらってきちゃいました!主催者さんごめんなさい^^;

こちら。












さてさて、私を上野につれてきたのは、冒頭でも書いたとおり、ルーブル美術館の館長さんだったわけですが、その講演の様子もメモしておこうと思います。「ルーブル美術館は今」なんていう題名だし、なんといっても、あの天下のルーブル美術館の館長さんなのだから、何かこう、「美術館とは何か」みたいな若干哲学めいたお話をこむずかしくやってくれるのではないかと期待していたのですが、そういうわけではなく、いたって普通に、まさに題名どおりルーブル美術館の今、というか、ルーブル美術館の紹介、みたいな感じに終始したなごやかなスピーチでした。

館長さんはアンリ・ロワレット氏。オルセー美術館の学芸員・館長を歴任し、2001年に史上最年少でルーブル美術館の館長に就任、だそうです。この人、相当のやり手だろうな、なーんて思っちゃいました♪

講演のメモは以下の通りです。

ルーブル美術館:
もともとはルーブル宮殿。12世紀からその時代の権力者達の美術コレクションを蓄えてきた。
1793年、革命に伴いユニバーサルな美術館、「全ての人に開かれた美術館」であることを使命として誕生。
19??年代(すみません、ききもらしました。)には「グラン・ルーブル計画」でピラミッドなど。
2003年、イスラム美術部門を新設し、展示スペースは2010年から公開予定。
年間830万人の来客があり、そのうち65%が外国人。
「美術館」であること、知を高めるテーマを掲げて数々の企画展を行ってきた。
年間予算は2億ユーロ。(編者注:それが多いのか少ないのか妥当なのか、文化行政に明るくないのでわからん!)

●キーワードは「開放」。
→美術館の本質的な使命。ただ作品を展示し見るだけの場所ではなく、自らの使命を考え、展開していく場所を目指していく。

●ルーブル・ランス計画。
ランス:かつての炭鉱・工業都市。まずしい地域。そこに美術館を建てる。(コンペを勝ち取ったのは日本人チーム「SANAA」)。2010年オープン。非物質的なルーブル。「視線を教育する」施設となる。

●世界に向かって開くルーブル。フランスの外交(文化の分野)で大きな役割を担っている。アトランタのHigh Museum、日本のDNPミュージアムラボ、ルーブルアブダビなど。
・ルーブルアブダビ:2013年オープン。30年の協定。アブダビに新しい国立美術館を作ることに助力する。2013年から2023年の間はフランスのコレクションを貸し出し、同時進行で独自のコレクションを購入する。23年からは独自のコレクションを展示していく。

●コンテンポラリーアートに向かって開くルーブル。

●展示スペースもいろいろリニューアル。18世紀の家具工芸品の場所もリニューアル。2011年オープン。(編者注:じゃあ、今回都美で見たこの作品群は今、家なき子ってわけやな!世界を放浪するんかな。)

<質疑応答>
Q:ルーブルアブダビの常設コレクションのジャンルは?
A:そこの周辺の美術館はイスラム美術が多いので、ルーブルアブダビは「普遍的」、あらゆる時代、地域の美術品を収集する。それが「ルーブル」の名を冠する所以でもある。

Q:海外で企画展を開催する際、ルーブルのまなざしとその開催地でのまなざしは必ずしも同じものではない。その差異をルーブルとしてどう吸収していくのか?
A:ルーブルは常に「外国からのまなざし」を大事にしてきた。
例えば19世紀のフランスにおける日本の「発見」、ヨーロッパで見られ、受け入れられ、同化し、西洋美術に活力を与え続けた。
再発見、再評価することの大事さ。文化が異なる文化の中に入っていき、影響を与え合う「美術のたわむれ」の価値。
海外で企画展を行うのは、異文化からの視点を得るためである。

Q:ルーブルで日本美術をコレクションしていく方向はあるのか。
A:日本美術のコレクションはギメが作られたとき、他の東洋美術と共にそちらにうつされた。今後も東洋美術の受け入れはギメがおこない、ルーブルでは行わない。

Q:日本にルーブルの分館を作るような計画は?
A:日本での活動は多いがあくまでも「パートナーシップ」を基調とする。支部・分館のようなものを作るわけではない。ルーブルからもたらすもの、もらうもの、give and takeである。


posted by はな at 23:44| Comment(8) | TrackBack(3) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝

東京国立博物館で開催中の「宮廷のみやび 近衛家1000年の名宝」に行ってきました(会期:前期・1月2日から27日まで、後期・1月29日から2月24日まで)。





藤原鎌足から連綿と続く藤原家・近衛家にゆかりの宝物を京都は陽明文庫などから出品です。

いや、なんというか…「名門」という言葉面だけだと、ちょっとそっけない響きがするのですが、これらの品々を見ていると、彼らが権力の中心に居りながら、または、政治の渦潮の中を泳ぎながら、という、とてもハードな頭脳労働をしながら、これだけ豊かでそれぞれの個性が輝く世界を築き上げて楽しんでいたんだねーということに思い至り、やっぱ、違う人は違うよ!と尊敬の念をまた改めて強くするわけです。私も1億分の1でも、こういう生き方に近づきたいものです。

特によかったものを出品リストの順にメモしておこうと思います。

《車図》。牛車そのものを正確に描写した絵なのですが、これがまあ、これだけでなんだか羨ましい。牛車ってこんな優美なフォルムしてたんだ、とか、内装が素敵過ぎる、とか。この時代のいいとこのお嬢さんに生まれたかったです、1日くらいでいいけど。

国宝の《金剛経筒》や《金剛経箱》っていうのは、あと、目玉の《御堂関白記》もだけど、これは去年の春、京博での「藤原道長」展で見たなあ…と思って、帰宅してから過去の記録をさぐってみたら、やはり見てました。

珍しいもので心惹かれたのは《五弦琴譜》。楽譜っていうのは常々、それだけで非常にイマジネーションをかきたてられる芸術品・表象だと思っているのですが、特に、こういう自分が読めない楽譜っていうのは、いやがおうにもロマンを感じるわけです。楽器はインドから東アジアに伝わった五弦琵琶だそうで、楽譜が縦書きで漢数字っぽいものも散見されるのがなんだかお琴の楽譜を連想させて、どんな調べなんだろう〜と想像を膨らませるわけです。

あと、今回の展示は、書がお好きな人にはたまらんのやろうなあ、と思われる宝物がずらり。私なんかは素人なのでなんとなーく雰囲気だけで、これ好きだな、とか、あれも好きだな、みたいな感じで見てるわけです。そんな中でチェックつけてあるのが後奈良天皇筆《詩懐紙「花中偏愛菊」》。太目の字なんだけど典雅さをたたえた感じが素敵でした。

あと、孝明天皇筆《詠糸桜和歌巻》。近衛家の桜の宴に出席されたのかな?そのときの感興を詠んだ御製のお歌。書も表装もとっても素敵。こういう古い和歌が書かれた字、読めたらなあ〜って思うんだけどなあ。

近衛家ひろ(←漢字…わからん)がセクション2つくらい使って大きく取り上げられていたわけですが、まず《百寿》という書が気に入りました。百の寿の上に「天開寿域」と書かれています。その趣味のよさの中に、ただそれだけではない、ノーブルともいうべき視点の高さを感じて、高貴な人はこうでなくっちゃ、と思ったわけです。

あとは、よくがんばりました!ていう漢字の《大手鑑》とかも。彼の底知れぬ教養の深さと、執念深いとも言えるマネジメント力というか計画性・実行力というものを感じました。

それと、このセクションに飾られていた表具裂の数々も素晴らしい。どれも美しく、これを集めた人のセンスを感じます。

あとは彼が描いた《蓮鷺図》に若干驚嘆。蓮の葉の縁の描き方がなんともいえず私の心をとらえてはなさないというか。この筆遣いは和なのか漢なのかと浅学の身は悩みました。

ちなみに、ちなみに。彼が10歳の時に描いたという大傑作があります!《鐘馗図》。超かわいいので私の大のおすすめの一品となりましたでございます♪

それと《春日権現霊験記絵巻》もよかったです。名門の家にまつわるお話を描いたものだけど、えらぶった感じがしなく、登場人物がとても生き生きと描かれていて魅力的でした。

部屋をどんどん進んでいくと近衛家に伝わる名品が展示されています。

私が気に入ったのは指人形「気楽坊」。かわいすぎます…。何がかわいいって、これは確かある帝のもので(確かそう。記憶があいまい。)、解説によるとこれを使って女官が近臣に文や歌をつかわしたそうなのです。かわいすぎる…。なんてお茶目なんだ…。

それと突然、酒井抱一《四季花鳥図屏風》。どうしてここに抱一なのか、確かセクションの最初の解説に書いてあったようななかったような…でもうろ覚えなので、由来がよくわからないのですが、やっぱり抱一は素敵すぎて、眼福、眼福、といったところでございました。

藤原定家筆の《和歌懐紙(反古懐紙)》などは非常に興味深かった。和歌を推敲した紙を表装したものなんだけど、ああ、名人もこんなに悩んで歌を作るのね、と、土下座したくなりました。深く深く心に刻もうと思いました。

この日は後のスケジュールが詰まっていて、あまりのボリュームに、展示物を見てはうっとりし、腕時計を見ては、間に合うか、間に合うか、とひやひやしながら、という感じでまわっておりましたが、なんとかうまい具合にタイムキーピングもできて一安心。平常展示のほうもめい一杯楽しんでまいりました♪

気になったこと・ものをいくつか。

十六羅漢像という絵を見ていたのですが、世の東西を問わず、“聖人”の頭にhaloが描かれることの不思議さ。これはある程度文化交流があっての結果なのか、それとも、もっと人間に共通に普遍的に備わる感覚なのか。うーん。

歌川国定(三代豊国)の《宝船図》はよかったなあ!!浮世絵風の七福神!こんな粋な宝船図、部屋に飾りたい〜!!

貫名菘翁《いろは屏風》にはやられました!83歳の作品。もう、自由奔放、という感じです。こういう年のとり方をしたいと思いました。

あと、おおっと思って見入ったのが松林桂月という人の《渓山春色》。かなり新しい感覚だなあ、いつの人だろう、と思ったら結構最近の人、1876から1963年の方と書いてありました。南画の近代化に尽くした人、だそうです。印象深いのは墨の線なのか、色なのか、描く対象に存在感が溢れているのです。


やはり、さすが東博だなあ、と、満腹、満腹、で出てまいりました!これまで意外とじっくり見る機会のない東博でしたが、京博ばかり贔屓にせず(笑)上野に来たらちゃんとチェックしようって思いました。でも上野に来るときの展覧会ラインナップっていっつもボリューム過多だから、余裕がないってのも事実なんだよね〜。

ちなみに本館においてあった英語の手引き。






日本語のもあったけどカラー図版がきれいだったから英語のをもらってきました。でも結構読んで面白いのです。巻物は右から左に読みます、ていう、そうか外国の人は知らないんだ、ということも書かれているんだけど、それが「時の流れというものを感じさせるように」っていう意味があったなんて、日本人の私も知らなかったよ!そんな新発見があって、思わぬ収穫物でした。

posted by はな at 21:28| Comment(14) | TrackBack(6) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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