2008年03月01日

源氏物語と東アジア世界

源氏物語を読む前に、寄り道ばかりしています。
こんな本を読みました。

河添房江『源氏物語と東アジア世界』日本放送出版協会、2007年。




面白かったです。もともとロマンチックでダイナミックでちょっと潮の香りとかもするような共同体としての東アジア世界っていう概念が好きだから。超ダンディー、「アカデミックさとダンディーさは並存できうる」との命題を体現されている白石隆のおじさまの『海の帝国』も好きだったし(て、あれは東南アジアだっけ?場所どこだっけ?あああ、うろ覚えです、お恥ずかしい)。

本の内容は、『日本らしさ』の象徴とも思われている『源氏物語』を唐物や高麗人といった東アジア世界の<ヒト・モノ・情報>との関わりの中で読み解き、この物語が広く東アジア世界との国際関係というコンテクストの中で成立できた物語であることを示し、「源氏物語=日本の美意識の粋」「国風文化」といった考え方の相対化を図る、といったところでしょうか。なかなか新鮮な視線ですよね。

結構話の進め方がワイルドな気がしたけど、文学の論文ってこんな感じなのかなあ?それともこれが、元になった論文から「書き下した」NHKブックスだから、さくさく感が強いのかなあ。(元になった論文は『源氏物語時空論』という本で、こちらも手にとろうとしたんだけど分厚くてやめた・笑)。でも、そのワイルドさが読者をぐぐっとひきつける勢いになってることは確かだな。おもしろかったもん。それにしても、序章での歴史・経済史関係の先行研究をむちゃくちゃ大胆にオーバービューしてくれたのは、度肝を抜かれましたが。いやいや、アカデミックな勉強を離れて幾星霜(もともと勉強したことがないといううわさも有り)な私が言えるこっちゃないけどね。

『源氏物語』そのものの「国際性」を示している文章が大半を占めてるんだけど、個人的には作者・紫式部にそのような感覚をもたらした要因について書いてある章も面白いなって読みました(第5章)。その中で夫・宣孝についての描写があったんだけど、結構楽しそうな、さばけた旦那さんだったみたいね!初耳な話だったので、へー、楽しそうな人じゃん、て思いました。

その宣孝の性質をよく示すエピソードが『枕草子』「あはれなるもの」の段に残されている。吉野の金峯山寺に詣でる御嶽詣には、当時、身分の上下を問わず質素な身なりで参詣するのが慣例だったが、宣孝は美麗な装束で行き、慣例を破ったのである。
 宣孝は「まさか蔵王権現はみすぼらしい装いで参拝せよとはおっしゃるまい」とばかり、紫、白、黄と色の取り合わせも派手な衣装を四十過ぎの身でまとい、長男隆光にも青、紅の衣に摺り模様の袴を着せて参詣したが、周囲の人はみな瞠目して、こんな姿の御嶽詣をまだ見たことがないと驚愕した。ところが都にもどると、罰があたるどころか、異例の抜擢で筑前守に任じられたのである。宣孝の派手好きで大胆不敵な性格は、「唐人見に行かむ」と紫式部にいってよこすような、風変わりなことを好むところにも通じる。(本文102ページ)

ね、楽しそうな人でしょ?こんなボーイフレンドがほしいぜ!

posted by はな at 14:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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