2008年01月24日

ルーブル美術館展 ―フランス宮廷の美―

東京都美術館で今日から開催の「ルーブル美術館展 ―フランス宮廷の美―」に行ってまいりました(会期:1月24日から4月6日まで)。

装飾工芸品は大好きなんだけど、でも、今の貧乏暇なしの妙に忙しい時期に時間を割けるのか…横山大観が先ではないのか…ということで直前まで悩んだのですが、初日にルーブル美術館の館長さんの講演があるということにひかれて、えいやっと行ってきました。

結果は…!行ってよかった!!これは疲れたときに甘いもの食べるのとおんなじ。疲れた心にブドウ糖。

こちら看板。この展示のイメージカラーはこのどピンクなんでしょうか?
でも、嫌いじゃないよー。





展示内容は…最初にがつんとくる、きまくる、という感じです。甘々の極上スイーツにやられます。で、時代に沿って装飾工芸品が変化していく様子がわかるようになってるのですが、個人的には最初のめちゃ甘なのが好きなので、その反動でマニッシュでアグレッシブささえ感じさせるような様式になってきたときはちょっと残念さを感じました。そして、マリー・アントワネットとかの時代になると、また洗練された華やかさが見られるのですが、最後はなんていうかもう革命&新時代の到来を感じさせて、あんまり「宮廷の贅を尽くした華やかさ♪」みたいのが尻切れトンボになった感もあって、「ああ、古きよき時代は長くは続かないのね…」という感じでした。ていうか、この展示の続きとして、ベルばらが読みたくなった。従姉の家で読ませてもらったことがあるけど、自分で買いたくなった。

展示で気になったことをメモメモ…。

展示前半の甘々さを称して「ロカイユ様式」というそうです。解説を根性でメモってきたのでここに記録♪

ロカイユ様式:貝殻や水辺の植物、様々な動物をはじめ、あらゆるジャンルを混合し、自然から着想を得たモチーフ全体に基づく奇抜な創意や造詣への関心、大胆な再解釈が特徴。

まさにそんな感じかな。個人的にはそのロカイユ様式と東洋趣味が絶妙にマッチした作品群が好きでした。中国の磁器・日本の漆器(まさにchinaとjapan!)にまばゆいばかりの金色のうねるような装飾を施して1つの作品に仕立て上げているのです。美の極致って言ったらほめすぎ?言葉がインフレ?

ポンパドゥール夫人のベルヴュー宮にあった《蒔絵脚付きポプリ入れ》なんて、とっても趣味がいい!ポンパドゥール夫人のもので他にも東洋趣味を感じさせるものがたくさんあったのですが、どれもごりごりに東洋をおしだして東洋オタクくさくなんて絶対にしないんです。あくまで最先端の装飾様式を施して今様にする、そこが素敵なんです。

《空色の渦巻きのある「エベール」の皿》とか。右上の花文様はおとなしめなのですが、名称にもあるとおり、左下の「空色の渦巻き」がいいんです。奔放ともいえる金色の線が描く渦に空色がつけられている。この空色がね、東洋を思わせるんですよ、しゃれてるんですよ。

フランソワ・ブーシェ《アモールの武器を取り上げるヴィーナス》、《ヴィーナスの化粧》。ああ、どちらも甘美。文句なしに甘美でしょう。こむずかしいこと関係なく。この世はケーキでできているって感じ。で、このアモールってのは天使くんなのですか?外国語知らないんだけど、響き的に「愛」とかそういう意味?なんか、すごくやんちゃ坊主っぽくって愛らしかったです。

ルイ15世の娘達のもの、ということで、《ベルヴュー宮の王女たちの脚付き壺》。これは中国磁器を使って作品に仕立て上げているもの、同じく《ベルヴュー宮の王女たちのコーナー家具》っていうの、これは蒔絵を施した立派な日本の工芸品が使われている模様。こういうの好きだわー。

珍しいなと思った絵でアドルフ=ウルリク・ヴェルトミュラー《狩猟服を着た王妃マリー=アントワネット》というものがありました。狩猟服を着てるっていうのが珍しい感じでしげしげと見てまいりました。解説によると鼻なんかの描き方が王妃の欠点(?)をリアルに描きすぎちゃって不評だったって書いてあったけど、私的にはかわいくていいなーと思ったけど。

このあたりにエッチングの版画作品がいくつか挟まれます。パリの女性の大げさなファッションやらなにやらを風刺したもので、結構面白いです。この展覧会の中にこれを持ってくるとはなかなかブラックジョーク的だなあ、とも思ったのですが。

元はポンパドゥール夫人のもので、持ち主が転々として…みたいな感じで解説があった《蒔絵水差し》。これ、いいですよ。金色の鎖で装飾されてるんですけどね、これがたまらなく美しいのですよ。


人生に甘いものがほしくなった方におすすめの展覧会でした!

ちなみにフライヤーが数種類出ていて、かわいかったから1枚ずつもらってきちゃいました!主催者さんごめんなさい^^;

こちら。












さてさて、私を上野につれてきたのは、冒頭でも書いたとおり、ルーブル美術館の館長さんだったわけですが、その講演の様子もメモしておこうと思います。「ルーブル美術館は今」なんていう題名だし、なんといっても、あの天下のルーブル美術館の館長さんなのだから、何かこう、「美術館とは何か」みたいな若干哲学めいたお話をこむずかしくやってくれるのではないかと期待していたのですが、そういうわけではなく、いたって普通に、まさに題名どおりルーブル美術館の今、というか、ルーブル美術館の紹介、みたいな感じに終始したなごやかなスピーチでした。

館長さんはアンリ・ロワレット氏。オルセー美術館の学芸員・館長を歴任し、2001年に史上最年少でルーブル美術館の館長に就任、だそうです。この人、相当のやり手だろうな、なーんて思っちゃいました♪

講演のメモは以下の通りです。

ルーブル美術館:
もともとはルーブル宮殿。12世紀からその時代の権力者達の美術コレクションを蓄えてきた。
1793年、革命に伴いユニバーサルな美術館、「全ての人に開かれた美術館」であることを使命として誕生。
19??年代(すみません、ききもらしました。)には「グラン・ルーブル計画」でピラミッドなど。
2003年、イスラム美術部門を新設し、展示スペースは2010年から公開予定。
年間830万人の来客があり、そのうち65%が外国人。
「美術館」であること、知を高めるテーマを掲げて数々の企画展を行ってきた。
年間予算は2億ユーロ。(編者注:それが多いのか少ないのか妥当なのか、文化行政に明るくないのでわからん!)

●キーワードは「開放」。
→美術館の本質的な使命。ただ作品を展示し見るだけの場所ではなく、自らの使命を考え、展開していく場所を目指していく。

●ルーブル・ランス計画。
ランス:かつての炭鉱・工業都市。まずしい地域。そこに美術館を建てる。(コンペを勝ち取ったのは日本人チーム「SANAA」)。2010年オープン。非物質的なルーブル。「視線を教育する」施設となる。

●世界に向かって開くルーブル。フランスの外交(文化の分野)で大きな役割を担っている。アトランタのHigh Museum、日本のDNPミュージアムラボ、ルーブルアブダビなど。
・ルーブルアブダビ:2013年オープン。30年の協定。アブダビに新しい国立美術館を作ることに助力する。2013年から2023年の間はフランスのコレクションを貸し出し、同時進行で独自のコレクションを購入する。23年からは独自のコレクションを展示していく。

●コンテンポラリーアートに向かって開くルーブル。

●展示スペースもいろいろリニューアル。18世紀の家具工芸品の場所もリニューアル。2011年オープン。(編者注:じゃあ、今回都美で見たこの作品群は今、家なき子ってわけやな!世界を放浪するんかな。)

<質疑応答>
Q:ルーブルアブダビの常設コレクションのジャンルは?
A:そこの周辺の美術館はイスラム美術が多いので、ルーブルアブダビは「普遍的」、あらゆる時代、地域の美術品を収集する。それが「ルーブル」の名を冠する所以でもある。

Q:海外で企画展を開催する際、ルーブルのまなざしとその開催地でのまなざしは必ずしも同じものではない。その差異をルーブルとしてどう吸収していくのか?
A:ルーブルは常に「外国からのまなざし」を大事にしてきた。
例えば19世紀のフランスにおける日本の「発見」、ヨーロッパで見られ、受け入れられ、同化し、西洋美術に活力を与え続けた。
再発見、再評価することの大事さ。文化が異なる文化の中に入っていき、影響を与え合う「美術のたわむれ」の価値。
海外で企画展を行うのは、異文化からの視点を得るためである。

Q:ルーブルで日本美術をコレクションしていく方向はあるのか。
A:日本美術のコレクションはギメが作られたとき、他の東洋美術と共にそちらにうつされた。今後も東洋美術の受け入れはギメがおこない、ルーブルでは行わない。

Q:日本にルーブルの分館を作るような計画は?
A:日本での活動は多いがあくまでも「パートナーシップ」を基調とする。支部・分館のようなものを作るわけではない。ルーブルからもたらすもの、もらうもの、give and takeである。


posted by はな at 23:44| Comment(8) | TrackBack(3) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早速いらしたんですね!丁寧なレポート、すごく参考になります。そうかー、甘いんですねー。ルーブル、昨年行ったばかりなので、あの膨大なコレクションの中から何を持って来るんだろうと興味津々でした。アンリ・ロワレット氏はなかなかの人物みたいですね。「自らの使命を考え、展開していく」かー。マカロンも気になるし、絶対いってみますね^^
Posted by palette at 2008年01月25日 20:43
♪paletteさん♪
今回は絵画じゃないということで、自分の中でもいくかどうか迷いがあったのですが、館長をライブで見られる、というミーハー気分が勝っていくことになりました!そして、やっぱりいってよかった〜楽しかったです!
ルーブルといっても絵画だけじゃないんですよね。こういうのもいいなって思いました。
マカロンも他のお菓子もとってもおいしかったので、出口でぜひピエール・エルメにつかまってみてください♪


♪Haruさん♪
こんにちは!お越しくださってありがとうございます!

そして…ほんとうにごめんなさい!!><
ちょうどコメントスパムが大量に来ていて腹が立って一括チェック&削除したら、Haruさんからいただいたコメントにまでチェックが入っていて…クリックした次の瞬間に気付いたのですが時既に遅く…せっかくいただいたのに本当にごめんなさい!!いきなり初対面(?)で感じ悪いことやらかしてしまいましたが、よかったらまた遊びに来てくださったら嬉しいです!ちなみにこのお返事は携帯電話のほうにかろうじて残っていたのを見ながら書いてます^^

Haruさんが読まれた雑誌っていうのはもしかして、去年の2月ごろのpenでしょうか?だとしたら、私、今本屋さんで取り寄せてるんです〜!楽しみです♪
もし別の雑誌をお読みだったらそれについてぜひ教えてください☆いろいろ目を通してみたいです!

Posted by はな at 2008年01月26日 19:00
はなさま

私のblogにお越しくださってありがとうございました!
早速TB返しさせて頂きました♪

とても詳細なレポですね。
そして・・・エッチングの箇所、
同じように感じてる方がいらっしゃって嬉しくなりました(笑)

はなさまは様々な国内外の美術展に行ってらっしゃるようですね。
また、ゆっくりお邪魔させていただきます!
Posted by kumakuma at 2008年01月28日 00:20
♪kumakumaさん♪
kumakumaさん、こんにちは!
お越しくださりありがとうございます♪
TBもありがとうございます^^

あの版画、それまでの展示での華美で華麗な世界にうっとりしていた自分の頭の中が一瞬リセットされました(笑)

ブログを始めてからはまだ美術を求めて海外遠征まではできてないのですが、京都上洛くらいはいたしました♪
これからもおつきあいいただければ幸いです♪♪
Posted by はな at 2008年01月28日 23:10
こんばんは。
遅まきながら、ルーブル展に行ってきましたのでTBさせていただきました。
圧倒されたのと、ロカイユ形式と、その後の”新しい趣味”の違いがよくわからなくて、図録をゆっくり読んでいます。
最近は、自宅で旦那様との会話のネタにもなるので、なるべく図録を買うようになったのですが、こんなに読み応えがある図録って、初めて見るような気がします。
Posted by 曜子 at 2008年02月17日 01:28
♪曜子さん♪
曜子さん、こんにちは!
コメント&TBありがとうございました。
私も論理的に「ここがこう違ってきているんだ〜」みたいな感じで説明できないのですが、なんとなく時代の流れを味わってきた感じです。
図録を買っての復習、さすがです!

>こんなに読み応えがある図録って、初めて見るような気がします

そうだったんですね〜!
それは私もショップで見てくればよかったかもです><
買わない、と最初から決め付けるのもよくないですね^^;
Posted by はな at 2008年02月17日 10:58
こんばんは。
ピンクピンクな展覧会でしたね。
(??)

物見遊山で出かけた割には楽しめました。
ブーシェが良かったです、何よりも。
Posted by Tak at 2008年03月04日 21:31
♪Takさん♪
Takさん、こんばんはー♪
いやはやあまーい展覧会でした^^
私、工芸品とかも割と好きです。ヨーロッパとかの思いっきりゴージャス系とか好きです。
でも、ブーシェを見ると、ああ、絵画もいいなって思います!
ロココのあまあま絵画いっぱいみたいですね!
Posted by はな at 2008年03月04日 23:00
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