2007年12月31日

北斎―ヨーロッパを魅了した江戸の絵師―

江戸東京博物館で開催中の「北斎―ヨーロッパを魅了した江戸の絵師―」展(会期:2007年12月4日から2008年1月27日まで)に行ってきました!

これはネットでチェックしたときからなんとなくアンテナにぴんときた展覧会。そして、多くの美術系ブログさんでも取り上げられていたいわくつきの展覧会。楽しみに行ってきました。

感想を一言で言うと、「こんな“北斎”見たことない、ていうか、こんな江戸絵画見たことないよ?!」ていう感じ。なんといってもキャッチフレーズが「オランダ、フランスから謎の風俗画40点 初の同時里帰り!!」ですから。後にも先にもこんな珍しい展覧会はないかもって思った。



--------------<公式サイトより>---------------------

葛飾北斎(1760〜1849)は、日本の画家の中で最も早く西洋画法に習熟し、独自の絵画世界を作り上げた江戸の絵師です。しかし北斎の作品に魅了されたのは、日本人ばかりではありませんでした。激しいタッチと強烈な色彩を用いて感情を表出した作品を描いたゴッホは、「大好きな日本版画のコレクションをありったけ壁にピンで留めたい」と語り、その筆頭として北斎の名前をあげるほど、北斎の絵画世界に最も影響を受けた人物のひとりといえるでしょう。ゴッホをはじめ、日本の浮世絵が印象派をはじめとした西洋の近代絵画に大きな影響を及ぼしましたが、これ以前、江戸時代より日本の美術や世相、歴史、社会制度、物産などはヨーロッパで紹介されていました。

 最近の研究で文政年間(1818〜1830)、長崎の出島に滞在したオランダ商館長たちは、 4年ごとに行われる江戸参府の時に北斎などの絵師に肉筆の風俗画を注文し、次の参府の際に注文した作品を祖国に持ち帰っていたことがわかりました。当時、50歳を過ぎた頃の北斎の関心は、人物や風俗、動植物などを漫然と筆の赴くままに描いたスケッチ集『北斎漫画』を出版するなど絵手本の制作にありました。

オランダ商館長の依頼を受け、北斎やその弟子たちが描いた作品も、江戸の人々の暮らしぶりが描かれています。これらの風俗画は、現在、オランダ国立民族学博物館とフランス国立図書館に所蔵されています。
 そして、今回、オランダとフランス、2箇所に分蔵されていたこれらの風俗画が初めて同時に里帰りすることになりました。特にオランダ国立民族学博物館に所蔵される<節季の商家>、<端午の節句>、 <花見>などはオランダ商館の医官シーボルトが持ち帰ったものとして注目されています。本展では、オランダとフランスに残る北斎の風俗画から、これまで"知らなかった"北斎像を探るとともに、北斎とシーボルトの交流にも着目します。そして江戸で人気を博した「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』に代表される、版画や版本、肉筆画、摺物など、初公開を含む北斎の名品を幅広く紹介します。 "知らなかった北斎"と"知っている北斎"―、ふたつの視点から迫る本展覧会で、ヨーロッパをも魅了した江戸の絵師・北斎の芸術をあらためてお楽しみください。

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この里帰りした「知らなかった北斎」ていうのが第1部にあたるわけですが、とにかく不思議な雰囲気。北斎肉筆画というより北斎工房で作られたものということらしいのですが、なんか、雰囲気が江戸の絵っぽくないんだよね。例えば、現代で活躍している、江戸好きの絵本作家とかイラストレーターの人が描いてみた江戸をモチーフとした水彩画って言われても信じると思う。それはもちろん色自体がすごく綺麗に残っているっていうこともそう思わせる理由の一つであるんだろうけど、色の使い方・グラデーションの雰囲気とか、そのさわやかさが江戸っぽくない。江戸時代にこんな絵が描かれたんだぁ…と、正直あっけにとられました。異国の人から注文があったってだけでこんなにも雰囲気を変えられるものなんだ、と、半信半疑。とにかく、年の瀬にビッグな「未知との遭遇」ができました。私的に、ある意味、超おすすめ展覧会。

記憶に残っているものを個別にメモしておくと…。
北斎工房の「武士と従者」とシーボルトの著書”Nippon”よりU-X。後者は前者を見て描いたんだろうけど、これなんかをみると「この里帰りとか言われてる作品、実は当時の江戸絵画大好きマニアの外国人が真似して描いたんじゃん」とかいうおばかな幻想をささっと消してくれることの一助にはなったわけです。やっぱり当時の外国人の描く絵と日本人の描く絵は違うねえ。真似しても違うものは違う。

「驟雨」は植物の塗り方がなんかもう普通にヨーロッパの水彩画っぽい。「ヨーロッパを魅了した…」ていうサブタイトルだけど、こういうヨーロピアンテイストな技法はどこで覚えたのだ?

4枚1組と思われる「武家」「町屋の男」「町屋の娘」「武家の奥方」もミステリアス。瞳の描き方が不思議。肌の光や陰影などとても写実的。女性の口紅の色(下唇を緑色だかに塗るのがはやってたんでしょ?)も抑え気味に色づけされていて、ある意味ユニバーサルデザイン、ヨーロッパのお客様にもうけるような感じに。それにしても「町屋の娘」はセクシーでいいのぉ♪(←おっさんか!)

「海浜の漁師」の空の様子。雲と光がとっても西洋風。なんなんだこれは!

まあ、そんな感じで第1部だけで相当時間をとってみまくってしまいました。

時間と空間のはざまのエアポケットに落ちた気分になりたい人におすすめの展示です。

第2部は「知っている北斎」を見ることが出来ます。
こちらもありとあらゆるジャンルの作品が出ていて相当見ごたえあり。
ちなみに、来年1月2日からこんな「北斎漫画展」ていう企画も開催されるみたいなんだけど、最初このフライヤーをみたとき「えー!じゃあ、これにあわせて来年くればよかったよ!」と思ったものです。なにやら門外不出の版木も公開されるとか。



ほんとは2部の感想もメモできればいいんだけど、お恥ずかしながらあまりの質&量に圧倒されるだけでして^^;すみません。

そんな感じでこれが2007年の最後の美術館めぐりになりましたが、最後を締めるにふさわしい、かなり、いろんな意味で面白い展覧会でした!
ご都合つく方はどうぞ、お正月の楽しみの一つに足を運ばれてみてはいかがでしょう!


posted by はな at 13:07| Comment(6) | TrackBack(5) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いい意味で
「変な展覧会」でしたよね。

Posted by Tak at 2007年12月31日 21:44
♪Takさん♪
あけましておめでとうございます!
不思議なミステリアスな展覧会でした。
まじまじと見てしまいましたよ〜!
Posted by はな at 2008年01月01日 06:30
 はなさん
 コメントありがとうございました。
 トラックバックは未だ到着しておりませんが、参りましたらすぐに公開いたします。
 北斎は江戸時代の美術の天才であり、かつ最高の経営者であったのではないかと思います。
 今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by Kirk at 2008年01月25日 21:08
♪Kirkさん♪
Kirkさん、こんにちは!
お越し頂きありがとうございます。
TBうまくいかなくてごめんなさい。
最近こちらのSEESAAの調子がとても悪くて全然TBがとばないのです…もしかすると当分こんな感じかもしれません、ごめんなさい><
北斎のいろいろな作品を見ているとその底知れないクリエイティビティーにびっくりします。
楽しく仕事をしていたんだろうなって思います!
Posted by はな at 2008年01月26日 19:03
遅まきながら記事にしましたので失礼します。

最初にあったあの絵はすごくインパクトありましたね!
なんか不気味な感じもあって北斎のイメージがかなり覆されました。そのせいかすごい人・人・人で落ち着いて見られなかったのがちょっと残念です。
「驟雨」、植物もそうですが、背景の雲もなんかすごくヨーロッパっぽい感じでしたよね。
Posted by しのぶん at 2008年01月31日 00:16
♪しのぶんさん♪
いつもながらコメント&TBありがとうございます♪
第1部の絵はほんと、なんというか、なんというか…形容しがたいものがありました。あの謎めきっぷりはびっくりです。
私は平日の昼間に行ったので割とじっくり鑑賞することができました。
でもあの不思議ぶりだからついついじっくりみてしまって、いつも以上に時間とられました〜^^;
雲とか空の色、ほんと、西洋画っぽい雰囲気でしたよね。
不思議すぎます><
Posted by はな at 2008年01月31日 14:36
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