2007年12月17日

ムンク展

国立西洋美術館に行き、「ムンク展」を見てきました(会期:2007年10月6日から2008年1月6日まで)。

めちゃくちゃ青い空。




これはどうやって感想を書いたらいいかなあ…難しいなあ…。いつもは展覧会を見に行くと、気に入った絵の名前をぽんぽんぽんとメモしておくだけでよかったんだけど、これはそうもいかないんだよ…難しい…ていうか、この展覧会のコンセプトが難解だったなー!

どういうものかというと…!


--<公式サイトより>-------------------

〈生命のフリーズ〉は、全体として生命のありさまを示すような一連の装飾的な絵画として考えられたものである。

───エドヴァルド・ムンク「生命のフリーズ」より

ノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクは、日本でもすでに数多くの展覧会が開かれ、愛と死、喜びと絶望といった「人間の魂の叫び」とも呼べるテーマを描いた作品が、非常に高い人気をえています。彼は、自らが描いた作品のなかでも、最も中心的な諸作品に〈生命のフリーズ〉という名をつけました。それは、個々の作品をひとつずつ独立した作品として鑑賞するのではなく、全体としてひとつの作品として見る必要があると考えたからでした。しかし、彼が〈生命のフリーズ〉という壮大なプロジェクトによって達成しようとしていたことは、「愛」「死」「不安」といった主題からの切り口だけでは捉えきれないものです。なかでも最も見過ごされてきたのが、上に引用したムンク自身の文書にも語られている、その「装飾性」です。今回の展覧会は、ムンクの作品における「装飾」という問題に光を当てる世界でも初めての試みで、オスロ市立ムンク美術館などからの代表作108点を一堂に展観します。

本展は、ムンクが試みた装飾プロジェクトにそれぞれ1章をあてて構成され、彼の「装飾画家」としての軌跡をたどれるものとなっています。第1章では〈生命のフリーズ〉における装飾性の展開を扱い、それに続く各章では、アクセル・ハイベルク邸やマックス・リンデ邸といった個人住宅の装飾や、ベルリン小劇場、オスロ大学講堂、フレイア・チョコレート工場、オスロ市庁舎の壁画構想といった公的建築でのプロジェクトを紹介します。

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というわけなのです。サブタイトルとして”The Decorative Projects”ってついているから、「どういうことかなー」とわけもわからずにとりあえず行ってみたわけですが、こういうことだったのか、と。
フリーズっていうのは初めて聞いたのですが、建築学的な言葉なのかな、壁画的装飾芸術、帯状の装飾のようなもののことを示すようです。つまり、ムンクの絵画1枚1枚が組み合わさって彼の意図する世界が構築されるということなのです。

まあ、そんなわけだから、いつものように「この絵が好きー、あの絵もいいなー」という感じで感想を残せない。最初のセクションが《生命のフリーズ》と名づけられた作品群であったわけだけど、これらの相互に関係しあう意味を、私はすぐには言葉に出来ない…。ムンク自身も晩年までフリーズとして作品群を構築することに注力していたようでそれは完成したのかどうかわからないけれど、とにかく、完成でも未完成でも、そのフリーズの中に3日くらい軟禁されてないと私の単細胞脳みそでは言葉に出来ない。…いやいや、このフリーズの中に3日軟禁されたら、かなりやばいだろうな。

まあ、そんなわけで、感想になってないのですが、感想がうまく言葉に出来ない、ていうのがこの展覧会の感想になりそうです。

あえて絵そのものを単体として味わうならば、特に気になったのは《サクラメント》、個人的な解釈だけど、左奥の方に部屋から出て行こうとしている人がいる?宗教的儀式・形式からの逃避・逸脱?

《声/夏の夜》は絵として好き。美しいような妖艶なような女の人、そして全体の色合いも好き。

《病める子供》というのは結核で亡くなった姉をモデルに何度も取り組んだモチーフとのこと。暴論を承知であえていうならば、こういうところにムンクらしさが見えるのかな。姉が亡くなるという子供時代に受けた悲しみをずっと心の中でビビッドに持ち続け、それを絵として表現し続けた、悲しみを筆頭として生命から沸き起こる感情すべてを鮮烈に、周りの人よりもずっと鮮烈に心に抱き続け、執着し続け、それでもなおあふれる感情を絵にした、ていうこと。この人、生きることの感情が強烈過ぎるでしょう、内蔵をえぐりだすような感じだよね。

とまあ、《生命のフリーズ》はそんな感じで、なかなか強烈だったわけです。

今回はdecorative projectsということで、他にも様々なフリーズのプロジェクトを再現しています。「たしかにこれは子供部屋にはまずいわ(笑)」みたいな子供部屋装飾プロジェクトやら、オスロ大学講堂の壁画(下絵やビデオによる再現など)とか。
印象的だったのはフレイアというチョコレート会社の工場の社員食堂の装飾。社員食堂の装飾がムンクだよ!!それってどーなの?幸せなのか、不幸なのか。私だったらいやだなー。社員食堂って一番うっとうしい日常の場所だからね。かわりばえのしない面子で仕事の合い間に時間にせかされながらおいしくもない食事をとる場所。憂鬱だわー。そういう憂鬱な日常性の極致みたいな場所にいいものをおきたくない。ムンクに囲まれて食事したくないっていうんじゃないの、そういうんじゃ全然ないの。社員食堂に素敵なものがあるのがなんかいやなの。

最初のセクションの作品群が強烈過ぎたね。展覧会って往々にして最初がつまるものだから、最初に山場をもってくるのはちょっと陳列方法的に問題があるんじゃないかと思うけど、でも、あれ以外並べる方法も考え付かんからなーと思いつつ、会場を後にしました。

やっぱり、比較的新しいものなので、古いもの好きの私にはパンチが強すぎました。

常設展を見に入って1500・1600年代の作品から始まったから、「うわ〜、正直落ち着くわ〜!」てしみじみ思ったもん。

西美の常設はやっぱりいいねえ。その日その日の気分で好きな絵が違う。だからいついっても新しい。

ちなみに個人的にはあの「西美を詠う」とかいうプロジェクト本、常設の作品と短歌をコラボさせた本なんだけど、あまり好きではありませんことよ!



posted by はな at 22:00| Comment(5) | TrackBack(5) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。
だいぶ、落ち着いてきたみたいで何よりですね。
冒頭の写真の青、キレイに出てますね。ああいう空を撮れるとうれしくなります。
わたしもあの子供部屋はまずいな〜と思いました。
「声/夏の夜」はあのうっとりと表情が好きですね〜。
Posted by あおひー at 2007年12月17日 22:24
こんばんは。
楽しく拝読させてもらいました。

>「たしかにこれは子供部屋にはまずいわ(笑)」
立派な感想じゃないですか!
素直な感想が一番です。
それにチョコレート工場の壁画は私も同じこと思いましたよ。

ここの美術館の常設展はいつ行っても心落ち着きますよね。
Posted by Tak at 2007年12月17日 22:31
♪あおひーさん♪
ご心配してくださってありがとうございます!
やっぱり私は自分の時間が取れなくなると俄然元気が出なくなるようです。ていうか、もうちょっと時間の使い方がうまくなりたいです!とかいいつつ、最近はまた暇なんですけど♪

>わたしもあの子供部屋はまずいな〜と思いました。
私ももし自分の子供がいたら、ちょっと作品まとめておひきとりいただくかも〜と思いました^^;刺激が強すぎる、と思うのは大人のエゴでしょうか?


♪Takさん♪
Takさん、こんばんは!
楽しく読んでいただけたなんて、Takさんにそんなこといっていただけるなんて光栄です〜!!
まったくまとまりがないのも自分の味だと開き直ってみようと思います^^;

社員食堂のフリーズ、Takさんも共感いただけますか〜!大学の講堂は自分的には全然問題ない、いいなって思うのですが、社員食堂は…。

常設でTakさんの大好きな《悲しみの聖母》みてきました!抜群の美しさですよね。
ほかにもたくさんいいものがあって、大好きな場所です^^
Posted by はな at 2007年12月18日 21:18
こんばんは♪

おー、なんだかすごい展覧会だというのが、はなさんの感想文からすごく伝わってきます。
「鑑賞」するというよりも「体験」または「体感」するという感じの展示だったのでしょうか。

意表をつかれる、というのもたまにはいいですよね!
Posted by sakuraya at 2007年12月18日 23:17
♪sakurayaさん♪
sakurayaさん、こんばんは!
なんか、まったく言葉になってなくて恐縮です^^;まがりなりにも「感想文」なんだから、ちゃんと文章かけよ!て感じですよね(苦笑)

なかなか難解で刺激的で観るのにエネルギーがいる感じでしたが、なかなか興味深かったです!
いろんな驚きに出会っていきたいなって思いましたよ〜^^
Posted by はな at 2007年12月19日 21:47
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