2007年10月04日

剥き出しのヨーロッパ史十選より引用

ミーハーな私のファンな学者さんの一人である、美術史研究の池上英洋先生が日経新聞で「剥き出しのヨーロッパ史 十選」という連載をされていました。

文化欄の中の小さなコラムなのですが、10回の連載全部が「目から鱗!」な視点と視野を与えてくれるもので、ついつい読みふけってしまいました、職場で。(←職務怠慢)

紹介されていた10枚の絵の中で特に心惹かれた回からの抜粋を掲載します。絵に惹かれたのか、語られる歴史に惹かれたのか。絵っていっても、なんせ新聞なもんで、白黒だったからね。

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ジャック・ブランシャール《慈愛》オハイオ州、トレド美術館。

「産褥死は西洋で長い間、女性の死因の第二位を占めていた。(中略)富裕層であれば乳母を雇えるが、粉ミルクなども無い時代に、男手ひとつで乳児を育てることは困難を極めた。結果的に、多くの子供たちが命を落としていった。子供を預かる施設の誕生は、新生児にとってひとつの福音となった。施設内でも依然死亡率は高かったが、育児中の近隣女性が乳母として参加した。絵の中で、乳をもらおうとまとわりつく子供たちをよく見てほしい。彼らは異なる髪の色、つまり母体を異にする子供たちなのだろう。」


ジャン・クーザン(父)《エヴァ・プリマ・パンドラ》

「ヨーロッパはキリスト教世界となった後も、ギリシャ・ローマ神話の文化を完全には手放さなかった。一神教と多神教という相反する構造を同時に抱える矛盾を、ヨーロッパは何度も解消しようとした。両者の融合を目指した努力こそが、ルネサンス文化の本質だ。(中略)人類が文明化とひきかえに永遠の生命を失い、そのきかっけとなったのが人類最初の女性である構図は、神話も聖書も同じなのだ。こうした共通性をもって、画家クーザンはエヴァとパンドラを重ね合わせ、頭蓋骨と林檎、壺と蛇を持つ女性像を描いたのだ。」
posted by はな at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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