2007年06月30日

プラハ国立美術館展

渋谷のbunkamuraに行って「プラハ国立美術館展 ルーベンスとブリューゲルの時代」を見てきました。プラハ国立美術館のフランドル絵画のコレクション展です。

“ブリューゲル”っていうのは1人の人のことではなくてピーテル・ブリューゲル(父)からはじまる芸術家一家のことをまとめてそう呼ぶみたい。なるほど、そうなのか、と勉強になりました。

イタリア・ルネサンス期の絵画とか19世紀フランスの絵画とか、普段「ヨーロッパの絵画」ていうとすぐに頭にひらめく絵とはまた異なる独自の絵画世界が広がっていて、とても興味深く見てきました!!

印象に残った絵を何点か覚書。

最初のセクション<第1章 ブリューゲルの遺産>ではいわゆるブリューゲル的なイメージのある絵が続きます。村の牧歌的な風景を穏やかで親しみやすいタッチで描くのだけど、宗教的な隠喩や人生に対する戒め的なモチーフがさらりと描きこまれている、そんな絵です。そのそこかしこに健在な暗喩っぷりは、この展示の作品ではないけれど《イカルスの墜落》などを思い出しました。ブリューゲルの絵は、まず自分の目で見て、よくよく見て、そっとキャプションを読んで「うーん、そういうことなのか」とわかったようなわからないような気にさせられ、そしてもう一度見る、という、やっかいな手間のかかる絵です、私的には。

ピーテル・ブリューゲル(子)の《東方三博士の礼拝》などは冬の村の風景の中に東方三博士を描き込むというちょっぴりユニークな描き方です。

<第2章 ルーベンスの世界―神々と英雄>ではシャルル・ウォティエ《若いバッコス》がとてもよかったです。若さが溢れる肉体を持ったバッコス。美酒の神というモチーフは人生を楽しむにはぴったりの画題だったのでしょう。きっと人気があったと思います。他にもバッコスが登場する絵、バッコスの従者が登場する絵などありました。

次のセクションは<第3章 ルーベンスの世界―キリスト教>。キリスト教と書いてるけど、プロテスタントの対立項としてのカトリックということで。カトリック応援絵、といった作品が多いわけですが、私の一番のお気に入りはヤン・ブックホルスト《聖母と眠る幼な子キリスト》です。これは母親の服装などは伝統的な宗教絵のマリアを踏襲していますが、表情といいその雰囲気といい、非常に親近感のわく、すごく身近にいそうな母子といった感じがするのです。眠る幼子もかわいいなと思いながらキャプションを読んだら、眠る幼子というのはキリストの死を暗示しているのだそうです。そういわれるとマリアの表情も憂いを帯びたものに見えてくる…。まったくもって“絵画の意味”というやつは難しいです。



<第5章 花と静物>はこれまた華やかで需要の高そうな作品が多いです!華やかな作品をメモする前に、落ち着いた雰囲気の静物画を一点メモ。ヤーコプ・フォブセン・ヴァン・エス《ブドウとクルミのある静物》。小さめの絵で構図ものっぺりしてる感じなのですが、これはブドウはキリストの受難、クルミが十字架の木という意味合いを持っているのだとか。さりげなく部屋に飾っておきながらも宗教的な気持ちを喚起させる絵だったのですね、きっと。

ヤン・ヴァン・ケッセル(父)(帰属)、ヘンドリック・ヴァン・バーレン(父)《果物の環の中のケレス》やヨリス・ヴァン・ソン、エラスムス・クエリヌス(子)《果物に囲まれた子どもの肖像》などは、人気あっただろうな〜という感じ。果物がとってもきれいだし、ケレスなんてすごく福福しくってめでたい感じがあふれてる絵。吉祥絵みたいなノリなのかなって思いました。

ちょっと毛色が変わった果物の静物画としてはヒリアム・ハブロン《果物と野菜のある静物》。これは素直に果物を構図の真ん中に持ってくるのではなく、ちょっと左に寄せて描いてあるところや、林檎が腐敗してきているところがなんだかユニークです。ブドウもたくさん描かれてるけどこのブドウにもやっぱりまた意味があるの?とか、この腐った林檎も何かの暗喩?とか考え出すときりがないのでやめときました。

鳥の絵も2枚ほど。ルーラント・サヴェレイ《鳥のいる風景》、ヨハン・ルドルフ・ビース《鳥のいる風景T》等を見ていると、ああ、この時代、鳥は生きたジュエリーだったんだろうなあ、なんて思わされます。

最後のセクション<第6章 日々の営み>では面白い絵を1枚メモ。それはテオドール・ロンバウツ《歯抜き屋(にせ医者)》。キャプションには人気のあったモチーフって書かれてたんだけど、なんでこれが人気のあるモチーフなのか、わからん、というか、こういうモチーフが好きだった当時のヨーロッパの市場は結構ユーモアやジョークが好きだったのか??と思ったりする謎の一枚。しかもミュージアムグッズでこれ絵葉書になってたし。私は買わんぞ、とか思いながら店をうろうろしてました。この絵何が一番可笑しいかって、歯を抜かれている人をあほ面丸出しで眺めている手前の男性。おかしすぎます!!

セクションごとにがらりと雰囲気が違って、まあ口悪く言ってしまえば、いろんなジャンルから総花的に持ってきたといえないこともないけれど、いろんな絵を楽しめる展示でした!フランドル絵画についてももっとよく知りたいな、と思わされたひと時でした。

posted by はな at 11:00| Comment(8) | TrackBack(5) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

ブリューゲル一家は
何度見ても、勉強しても
いつもあやふやです。
名前だぶりすぎですよね!

この展覧会はさておき
フランドル絵画は大好きです。
Posted by Tak at 2007年06月30日 21:44
♪Takさん♪
Takさん、こんにちは〜!
私はそもそも“ブリューゲル”という一派であることを初めて知ったので…^^;
確かに同じ名前の人はたくさんいるし、わかりづらいですね〜。
今回は結構複製作品が多かったので、ピーテル・ブリューゲル(父)の作品ていうものをまとめてたくさん見てみたいって思いました!
Posted by はな at 2007年07月01日 09:03
はなさんこんばんは。ブリューゲルはややこしいですよね。
好きなテニールスと親戚関係にあったことを今回初めて知りました。

>フランドル絵画についてももっとよく知りたい

フランドル絵画展をやっていただければ喜んで行きたいです。

ブログのテンプレートが爽やかになりましたね!素敵です。
リニュールおめでとうございます!
Posted by はろるど at 2007年07月04日 22:17
♪はろるどさん♪
はろるどさん、こんばんは!
今回は私にとってはあの時代についての基礎知識をインプットするのにいい展示でした^^

>フランドル絵画展をやっていただければ喜んで行きたいです。

全然詳しくないので私の中の「フランドル絵画」イメージというのはすなわちあのブリューゲル風の農村の絵だったのですが、他にもいろいろ体系的に見てみたいと思いました。

>ブログのテンプレートが爽やかになりました
>ね!素敵です。
>リニュールおめでとうございます!

ありがとうございます^^
身辺の環境も変わりつつあるので、夏らしい色合い、そして気持ちがスッキリするようなデザインを選びました☆
これからもよろしくおねがいします^^
Posted by はな at 2007年07月04日 23:15
トラックバックありがとうございます。
フランドル絵画、大好きです。
またオランダ絵画も教訓が秘められた
ヴァニタス絵画などの静物画が大好きです。
絵に秘められた謎ときって面白いです。
〜解説を読まなければ難しいですが〜
Posted by 一村雨 at 2007年07月05日 19:40
♪一村雨さん♪
一村雨さん、こんばんは!
コメントありがとうございます(^-^)
「謎解き」がある絵は独特の楽しさがありますね。
解説を読んだり、事前に勉強したりしてからまたいろいろな絵を見てみたいと感じました。
当時これらの絵画を手元に求めた人たちもさりげなく表現されているメッセージが粋だと感じて惹かれてたのかな〜なんて考えちゃいました!
Posted by はな at 2007年07月05日 20:36
こんばんは!
ぎりぎりに観にいきましたが、ブリューゲル、イッパイいすぎてややこしいですよね(^^;)
歯医者の絵は、皆楽しそう(本人以外)でなんかおかしかったですね。
私もマリアとキリストの絵は暖かい感じで良かったと思いました(*^^*)
Posted by しのぶん at 2007年07月25日 00:28
♪しのぶんさん♪
しのぶんさん、こんばんは!
私はブリューゲルはブリューゲル(父)を知っているだけだったのですが、あれだけたくさんの(?)ブリューゲルさん、そしてブリューゲル的な絵を描く人がいたのですね。

>皆楽しそう(本人以外)

あはは!確かにそうでした!
あの歯医者の絵はほんと首をかしげる謎なおかしさにつつまれています。

私はかなり楽しんでみることが出来た満足度の高い展覧会でした!
Posted by はな at 2007年07月25日 19:50
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