2007年05月08日

パリへ 洋画家たち百年の夢

今日は美術館日和!
まずは東京藝術大学の大学美術館で行われている「パリへ 洋画家たち百年の夢」展へ行ってまいりました。

まだずっと幼かった頃の私が子供心に素敵だと思った絵の1枚に黒田清輝の《読書》があります(東博所蔵)。今回は黒田清輝の絵が看板絵になってることからも見て取れるように、黒田の絵がたくさんあって、自分の中で眠っていた種に水をあげられたような気分になってすごく嬉しかったです。

これはチケットの半券。載っているのは黒田の《婦人像(厨房)》。会場に入ってすぐにこれがどんと展示されていて、しばしたたずんでしまいました。

つつましやかな場面を切り取っているのに奥行きのある構図、美しい光の描写。これが黒田清輝かあ、と、しげしげと見つめてしまいました。



黒田は他に有名な《智・感・情》が展示されていました。その絵の意味するところは見る側の力不足、解説を読んでもちょっと難解だな、うまく読み解けないな、というのが正直なところでしたが、3つの女性像のそれぞれの違いは興味深く見てきました。これは会期前半(〜5月20日)の展示だそうです。これと入れ替えのような形で、あの《湖畔》が展示されます(5月22日〜)。

私の個人的な思いいれとしてはこの《婦人像(厨房)》と《智・感・情》を実際見ることが出来ただけでおなかいっぱい、ごちそうさま、でした。

もちろん他にもたくさん素敵な絵がありました〜!!いやあ、見ごたえあります。

印象に残っているのを順番にあげると…

ラファエル・コラン《田園恋愛詩》。エロい。エロ甘い。見ててなんか照れてしまったのでふと目をそらすと背景が粋なんですよね。木の枝の伸び具合がセンスいいというか、ありきたりな写実を一歩超えたおしゃれさを感じました。

山本芳翠《浦島図》。私、こういう空想の絵って結構好きです。浦島の竜宮城を出てきてしまったことへの後悔、竜宮城での楽しかった日々への思慕の念、そんな気持ちが垣間見える憂いを含んだ表情も印象的ですが、やっぱり単純に絵の華やかさに目を奪われます〜。オリエンタルな装飾美が最高に綺麗です。

和田英作《渡頭の夕暮れ》。これも教科書とかに載っているような有名な絵じゃなかったっけ、と思いながら見ました。何がだろう、光の柔らかさかな?この絵のどの要素かわからないのですが、何かが私をして私の中の黒田清輝を見るチャンネルと同じチャンネルで見させしめる、みたいな。なんていうか、黒田の絵に感じるものと似たものを感じるというか。まあ、気のせいかもしれませんが。でも、とてもいい絵です。

同じく和田《野遊》。これはデザイン性に惹かれました。三人の女性の衣装が素敵で。東洋から来た画家が西洋で東洋的なデザインで魅せる。なんかオリエンタリズムの入れ子構造のようなものを感じます。まあ、そういう構造は、この展示全体に見え隠れするものではあるんでしょうけれど。

あとは藤田嗣治の作品群に惹かれました。新美術館の企画展でも見たはずなのですが、なんか今日のほうが心に響いたなあ…。その理由はなんとなく自覚できております^^;それは1910年に描かれた《自画像》に一目ぼれしたからですな(笑)。絵のタッチはあのいわゆる藤田っぽい白い絵ではないです。普通の(?)自画像です。藤田は1986年生まれだからこれを描いたのは今の私より年下…。なのにこのつんつんした感じ&自分に才能を信じてる感じ!若造のくせに生意気な〜!!お姉さんがなでなでしてあげるからもっと頭低くしなさい!(←妄想爆発)悔しいことに男前だし!!(なんでパリへ行ったらあんな前髪にしちゃったの?)いやはや、普段はつんつんした男性は全然タイプじゃないんですが、この絵はなんていうか、その才能を愛でてパトロネーゼにでもなれたらいいのに、なんて妄想を膨らませるのに十分なあやうい魅力をたたえた絵でした。

最後の第4章は現代アートでした。こういう風に時間軸の沿線上で「現代アート」を見せられるとふいうちをくらったような気になるのよね。私、やわだから、現代アートは身構えないと見れません。「今日は現代アートの展覧会だ!!」みたいな感じで戦闘モードに入らないと見れないというか。なんかあの作品と対峙した時に感じる、喰うか喰われるか、みたいな得体の知れない雰囲気がこわいんだよね。

まあ、そんなことをぶつくさいいながらも、正木徹《初夏のブルー》は素敵な絵だな、と思ったり、大島和代《平和への願い―138のくるみの赤ちゃん》にはしげしげと見入ってしまったり。

とてもよかったです!

東京藝術大学の美術館に入ったのはこれが初めてです。今回の展示の出品リストを見たり、同時開催している「芸大コレクション展 新入生歓迎・春の名品展」を見たりしても思いますが、東京藝大って…さすが、というか、なんというか、すごいものを所蔵しているな、という感じで。

というわけで、強引に話を芸大コレクション展のほうにもっていきます。

こちらもいろんな時代にきらめく作品を集めていました!私の中で一番印象に残っているのは、修復記念で公開されていた《小野雪見御幸絵巻》特集かしら。修復の手順などが解説されていて、なんかそれを読むと、作品に土下座したくなります。美術品の修復ってほんと大変で尊い仕事だわ、と思うわけです。


藝大美術館を出た後、東京都美術館に流れる予定だったのですが、お昼ご飯があんみつだけ、という、微妙におなかがすくメニューだったので、カフェに入ろうか入るまいかすごく迷いました。藝大美術館のミュージアムレストランって、ホテルオークラが出してるの!!すごくない?見てびっくりしちゃった。結局食べなかったんだけどメニューはチェックしてきて(←いやしそう)次きたときは絶対アップルパイアラモードを食べるぞ!!と決意しております。

というわけで、本日の美術館めぐり、半分終了!!
posted by はな at 20:35| Comment(12) | TrackBack(4) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。Minnetです。黒田を中心とした白馬会系の画家たちの代表作が目白押しでしたね。さて、藤田嗣治のおかっぱ頭ですが、パリでの無名時代、貧困のため散髪に行くお金がなく、目を覆ってしまうほど伸びてくる髪を自分でハサミで切ったそうです。有名になっても苦労した無名時期のことを忘れないために、あえてあのスタイルを貫いたそうです。(戦争中は坊主頭にしていました。)それから、食事はいつも、カフェの下の学生食堂を利用していますが、私は甘党なので、今度アップルアラモードに挑戦してみようと思います。
Posted by Minnet at 2007年05月09日 01:44
こんにちは。
TBありがとうございました。

和田英作「野遊」は垂れ下がる藤がポイントだと高階先生がお書きになられていました。
この展覧会で「西洋画」に対するイメージ変わってきました。今関連の本を慌てて読んでいます。
Posted by Tak at 2007年05月09日 09:56
♪Minnetさん♪
Minnetさん、こんにちは!
藤田のあのおかっぱ頭にはそんな理由があったんですね〜!!すごく興味深いお話ありがとうございました!変な前髪だと思ったりして藤田に悪いことをしました…。
カフェの下は学生食堂になっているんですね〜。次は私もアップルパイ狙いですが、季節のいいうちに学生気分を思い出して食堂でお食事っていうのもいいかもしれません^^


♪Takさん♪
Takさん、こんにちは!
こちらにもTBいただきありがとうございました。
「野遊」のポイントは、藤。ううーん、やっぱりまだまだ未熟なのであの女の人の服装が綺麗だなというところばかりに目が奪われてしまいました。図録など買ってくれば皆さんのお話を伺って復習もできるのですが…。
「西洋画」についての本お読みになったらまたブログで御紹介ください〜!Takさんの記事いつも楽しみにしてます^^
Posted by はな at 2007年05月09日 11:42
先日はコメントありがとうございました。

上にコメントを入れているTakさんは、

わん大夫の知り合いです。すご〜く美術の見識の高い方です。

芸大美術館の本展もなかなかに見ごたえがありますよね。

Posted by わん太夫 at 2007年05月10日 20:50
♪わん太夫さん♪
こんにちは!おいでくださってありがとうございました(^-^)トラックバックもありがとうございます。今旅先ですので帰宅したらこちらからもトラックバックさせていただきます。

Takさん、すごい方ですよね!いつもブログを拝見してはすごいなぁ〜と感心してしまいます。とても勉強させてもらっています。

今神戸を旅行しているのですが偶然ラファエル・コランの絵をみることができました。芸大の展覧会をみておいたので「ああこれが黒田達につながっていくのだな」と興味深くみることができました☆
Posted by はな at 2007年05月10日 21:31
「TB代わり」多謝。この展覧会はTakさん、わん大夫さんと一緒に鑑賞しました。
Posted by とら at 2007年05月21日 21:14
♪とらさん♪
怒涛のように「TBがわり」を投稿してしまって…。
こちらにもコメント&TBありがとうございました!
Takさん、わん太夫さんといらしたんですね〜!美術好きなお友達と一緒に見ることが出来るなんてなんだかすごく素敵です!!私は美術館は(に限らず?)一人で出かけることが多いので…^^;がんこなまでのマイペース派です+_+
Posted by はな at 2007年05月22日 13:21
大島和代さんの「くるみの赤ちゃん」2体はYahooオークションで12万円で購入できるようです。
Posted by 花崎 at 2008年06月18日 10:13
くるみの赤ちゃんの続き
一体6万円で「@ほっこり」「A泣き笑い」で
なんとも愛らしい表情です。作者本人から購入した作品で、新品です。材質は絹布・アンティーク刺繍・くるみの殻でできていて、高さ一体6センチ弱です。大島和代さんの経歴書と本人からの作品説明の手紙付きです。
Posted by 花崎 at 2008年06月21日 11:54
♪花崎さん♪
情報ありがとうございます!
私は貧乏人なので、まだまだアート作品は買えません^^;
どなたかいい方が落札してくださるといいですね!
Posted by はな at 2008年06月22日 15:48
ありがとうございました。くるみの赤ちゃんのもらいてが
見つかったそうです。
Posted by 花崎 at 2008年06月22日 15:54
♪花崎さん♪
赤ちゃんの行く末が決まってよかったですね!
Posted by はな at 2008年06月25日 09:01
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