山種美術館で開催中の「春のめざめ」展に行ってまいりました(会期:2008年1月5日から3月9日まで)。お正月のためのおめでたい感じの絵や福々しい感じの絵の展覧会です。
というわけで…個人的には「うーむ、ちょっと来るタイミングが遅かったかな。」という感じでした^^;だってもうお正月は遠くなりにけりだし、1月は行く、2月は逃げる、のばたばたの毎日で、そういう「めでたや、めでたや」みたいな気分って吹き飛んでたからね。教訓:こういうお正月企画はおめでたい気分のうちに行くのがよい。でも、それでも、美しい絵ばかりで、心ゆくまで愛でてまいりました。
松園の絵は集客力が高そう。だって、やっぱりきれいなんだもん。

気になった絵についてメモします。
渡辺省亭《葡萄》。製作年は「明治‐大正初期」とな。かごを描く細い線とスモーキーで上品なパステルカラーが印象的だったのです。自分の中でなんで印象的だったかというと、たぶん脳細胞のどこかで藤田を思い出したんだろうな。あと、葡萄を食べようとしている(?)ねずみくんが愛らしゅうございました。今年の主役ですし。
やっぱり大好き、上村松園、みんな大好き、上村松園。今回は2作出ていました。《春のよそをひ》と《つれづれ》。《春のよそをひ》は上掲の私撮影のひどい写真をご参照ください。
これがちょうど展示室の角のところに並んで展示されてあって、交互に見比べて楽しんできました。松園は女の人のいろんな表情を描くね。《春のよそをひ》の、伏目がちな中に見られる、自分の美しさを自覚している女の自信みたいな表情と、《つれづれ》の、リラックスして、関心・意識の焦点が散漫に気持ちよく緩んでいる感じ。どちらの感情も一人の人間・一人の女性の中に存在するものなのだろうなあと思いました。
お母様を取り上げたから、というわけではありませんが、上村松篁《春鳩》も好きです。今度横浜そごうで松篁展やるそうなので、相当楽しみにしてます。
やっぱりこの人の優しい感じの色合い大好き。癒されます。白い梅(もしくは桃?花に無知でごめんなさい><)の若枝の色こそ「春のめざめ」。
遠目で見たとき「あれ、だれの絵だろう」と思ったのが東山魁夷《春来る丘》。東山魁夷って私の中で、どんな風景も独特の色合いを出してくれる画家っていう認識があったんだけど、この絵は一見普通の色使いの田園風景に見えたので「意外だな〜」って思ったのです。で、ゆっくりゆっくり見ていたら、このくぐもった黄色で色付けされている丘というか畑みたいな部分はいったいどんなところなんだろうって思ったんです。若草が萌える色なのか、それよりもっと早い時期の土の色なのか…。題名が《春来る丘》だから…。うーん。なんて、いろいろ想像をめぐらすことが出来て楽しかったです。東山魁夷も今年大きな展覧会あるよね。混まないうちに行こう。
一番新しい画家さんは林功《月の音》。山種美術館の展覧会って、その会に1枚くらい、比較的時代の新しい画家の絵をぱっといい感じに出してくれることがあると思うんですが、ご他聞に漏れず今回の「新しめの画家の絵」も気に入りました!白を基調とした色合いの絵なんだけど、白って不思議な色だよね、それを混ぜただけで、こんなに神秘的で夢かうつつかわからない雰囲気になる。ピンク色した椿が夢の中の出来事のよう。まさに題名どおり「月の音」を感じました。
さあ、春の桜の展示も楽しみな山種美術館でございました!